車の中から焼香できるというドライブスルー方式を全国で初めて採り入れた葬儀場が、長野県上田市内でオープンし、ネット上で賛否両論の議論になっている。
「車上焼香入口」と矢印で表示されたレーンに車を進めると、電光掲示板に「お待ち下さい」といった表示が出る。
参列者は座席で手を合わせ、喪主がモニターで確認
表示が変わって車をまた進めると、右側に窓口が現れる。スタッフにタブレット端末などを渡され、名前などの入力を済ます。そして、電熱式の焼香台を使って、香をつまんで入れて座席で手を合わせる。
窓口からは、故人の遺影も見られるようになっている。焼香では、香典を渡し、お返しをもらって、車を発車させる。喪主は、ランプの点灯で車の到着を知り、モニター画面で焼香の様子を見ることができる。
テレビ映像などを見ると、ドライブスルー式の焼香は、このような手順で行われていた。
導入されたのは、冠婚葬祭業のレクスト・アイが新設した葬儀場「上田南愛昇殿」だ。2017年12月15日に報道向けに公開され、ニュースになった。英BBCなどの外国メディアも取材し、テレビで感想を聞かれたある外国人記者は「革新的で面白い」と好意的だった。
想定している参列者は、高齢者や障害者、多忙な人などだ。なかなか外出できない人に利用してもらい、1人でも多くの人に故人の通夜や葬儀に来てもらうことを目的にしている。16日に見学が行われ、17日から運用を始めた。
ニュースのコメント欄などでは、この「ドライブスルー葬儀場」に様々な意見が出ている。
「焼香の簡素化ではなく、全自動でもない」
「足腰が弱いお年寄り達にはいいと思う」「冬の斎場は寒いし、長時間座ったままも辛いだろう」などと好意的な受け止めもあった。一方で、「故人を偲ぶイメージが軽すぎる」「なんか嫌な葬式...何でもかんでも導入してほしくない」などと疑問や批判も出ていた。
レクスト・アイの荻原政雄社長は18日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
「焼香の簡素化ではなく、全自動とも捉えていません。体が不自由で行きたくても行けなかった人の参列が可能になるということです。また、赤ちゃんが2人いて他の人に香典を頼んでいたような人や喪服がなくて困ったという人でも、利用できるようになります。喪主の方が後になって家で対応するのも大変なので、なるべく通夜や葬儀に行った方がいいということもあります」
上田南愛昇殿では、17日の夜の通夜や葬儀からドライブスルー式焼香の運用を始めた。18日正午現在では、まだ利用する人は出てないというが、荻原社長は、「12月中の利用状況を見て、改善するべきところは改善したいと考えています」と話している。