予防接種に血液検査と、大人になってからも注射のお世話になる機会は多い。それにしても肌にチクっとくる痛み、何とかならないものか。
医療関係者は改善のため努力を続けている。その成果のひとつとして、皮膚に張るだけで注射をしても痛くないというパッチが発売された。幼い子どもや、病気のため1日に何度も注射を打たねばならない患者の救世主になり得る。
治療の痛みが子どもに精神的負担もたらす
佐藤製薬が2017年12月13日に発売した「エムラパッチ」は、肌に張るタイプの麻酔剤だ。使い方は簡単で、注射を打つ1時間前に、腕などの該当部分に湿布のように張り付けるだけ。注射の直前にはがす。
12月13日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で、番組ディレクターが実際に体験した。感想は「注射針が刺さっている感じがしない」。パッチを張った箇所の周りの感覚が鈍くなっているようだったという。
現在は市販されておらず、医師の処方せんが必要となる。だが番組によると、健康保険適用の治療なら約80円で済む。実費でも1枚250円ほどだ。例えば予防接種を受ける際、早めに医療機関に行ってパッチを張り、60分後に注射を打ってもらえばよい。医師に相談して、事前にパッチを処方してもらっておく手もありそうだ。
佐藤製薬の発表資料によると、治療や処置に伴う痛みは記憶として残り、「次回以降の治療や処置がより困難になるなど長期的な影響を与えることが分かってきました」。特に子どもには、痛みがある治療が大きな精神的負担をもたらす。糖尿病患者のように1日3、4回インスリン注射を打つ必要があったり、太い注射針を使う治療を受けたりする場合は、このパッチが効果的だろう。