20代なのに骨粗しょう症で背骨ボキッ! 女性の「骨」ケアと「骨ホルモン」の秘密

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【あさイチ】(NHK)2017年12月13日放送
20代で骨粗しょう症! 守りたい女性の『骨』ケア

   骨粗しょう症になるのは高齢者と思われてきたが、最近、20代~30代の骨密度が薄くなり、骨粗しょう症にかかる女性が増えてきた。

   最新研究で、骨が弱ると全身の老化が一気に進み、糖尿病や動脈硬化につながることがわかってきた。その秘密は骨から分泌される「骨ホルモン」。その分泌を促せば、健康や美容への効果が期待できる。驚きの骨パワーと、骨を丈夫にする方法を紹介する。

  • 骨を強くするために日光浴を
    骨を強くするために日光浴を
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サケ、イワシ、サンマ、キクラゲでビタミンDを摂ろう

   番組では冒頭、20代で骨粗しょう症になり、なんと背骨がボキッと折れた女性が登場した。美穂さん(36歳)。8年前の26歳の時、長男を出産した直後のことだ。家の中で6冊の本を重ねて持ち上げた途端、背骨に激痛が走った。

美穂さん「ボキンという音が聞こえ、立てなくなりました。それから半年間、寝たきり生活です。赤ちゃんを抱くことも、お乳を上げることもできず、毎日泣いて暮らしました」

   主治医の茶木修さんが美穂さんの背骨のレントゲン写真を見せた。骨が押し潰されて変形している。骨密度が薄いことからくる圧迫骨折だ。

茶木修医師「原因は骨粗しょう症です。骨に必要な栄養素ビタミンDが足りないために、骨が想像以上にスカスカになっていました。骨の衰えは本人に自覚できません。ちょっとした圧力、重みで折れてしまいます」

   ビタミンDの重要性について、島根大学医学部講師の金沢一平さんが解説した。

金沢さん「骨が弱くなる要因には、やせ型、更年期、運動不足、遺伝、過度のダイエットなどがあります。なかでも最近、20代~30代女性に骨粗しょう症が増えている大きな理由は、ビタミンD不足です。よくカルシムが大事といわれますが、ビタミンDはカルシムを吸収させる働きがあり、カルシムだけをとってもビタミンDがないと吸収されません。2つはセットなのです」

   食事やサプリメントで積極的にビタミンDを補給することを心がけることが大切だ。金沢さんが勧める食べ物はビタミンDが多い魚とキノコ。1日に必要な摂取量を補うには、サケなら2分の1切れ(50グラム)、イワシ1尾(50グラム)、サンマ1尾(100グラム)、キクラゲ(乾)20グラムほどがいい。

金沢さん「食事だけで全部補うのは難しいので、サプリも積極的にとってください。ただし、摂りすぎは腎機能の低下につながります。推奨されている1日の摂取量は600~800IU(注:IUは各ビタミンの国際単位)です」

   長年、骨粗しょう症研究を続けている近畿大学の伊木雅之教授によると、全国1200人の女性を対象に血液中のビタミンD濃度と骨密度を調べた結果、ビタミンDが少ない人ほど骨折するリスクが高いことがわかった。最もビタミンDが低い人は、多い人に比べ、骨折率は6倍になる。しかも、ビタミンDが足りない人の割合は20代~30代が圧倒的に高く97~98%にもなる。一方、60代~70代は85~90%と、若い人よりは低い。

伊木教授「しかし、高齢者が骨粗しょう症で骨折すると、寝たきりになり、大半の人が1年以内に亡くなります。特に大腿骨を折ると危険です。若い人がそうならないように、今から骨密度を高めておくことが大事です」

「紫外線対策を!」と呼びかけた研究者、今は反省

   26歳で背骨を折った美穂さんもビタミンD不足が原因だ。ビタミンDは陽に当たると皮膚の中で作られる。美穂さんは結婚式で着たドレスが忘れられず、白い肌を保とうと紫外線をまったく浴びない生活を3年間続けた。

伊ノ原快彦キャスター「ビタミンDを増やすために紫外線を浴びろと言うことですか? これまでの『あさイチ』の健康コーナーでは散々、紫外線は危険だと訴えてきたではないですか?」
リポーターの佐々木彩アナ「確かにそうですが、最近は、専門家の間でも紫外線を危険視するあまり、ビタミンD不足の人を増やしすぎたと反省する動きが出ているのです」

   その1人が、国立環境研究所主席研究員の中島英彰さんだ。5年ほど前の「あさイチ」で紫外線対策を訴えた。そのことを申し訳なく思っているという。

中島さん「極端に紫外線を避ける生活を続けると、ビタミンD不足に陥る可能性があります。現在私は、ビタミンDの生成のためにはどのくらい陽に当たる必要があるのかの研究を進めています。全国10か所の地点で、季節ごとに必要な日光浴時間を研究所のホームページに公開しています。現在の12月中旬では、沖縄では30分、関東では65分、北海道では300分(5時間)陽に当たらないとビタミンDの必要量が作り出せません」
柳澤秀夫解説委員「さ、さ、300分ですか! 寒いじゃないですか(笑)。皮膚の健康は大丈夫ですか」
中島さん「紫外線量は皮膚がんを発症するリスクの3分の1です。それにカラダ全部を浴びなくても、手のひらをかざして陽に当てるだけも効果があります」

カラダ全体にいいことばかりする「骨ホルモン」

佐々木彩アナ「研究者の間でも、陽に当たる時間については意見が分かれています。皮膚がんは大丈夫でもシミはどうなるの?の問題もあります。ただ、最近の流れは、紫外線を避けすぎると骨に良くないということです。また、骨から『オステオカルシン』という骨ホルモンが分泌され、カラダ全体の健康にいいことをしてくれることが最近発見されました」

   骨ホルモンを研究している北海道大学大学院准教授の佐藤真理さんが解説した。

佐藤さん「骨の90%以上は骨細胞です。そこから、オステオカルシンをはじめ、様々なホルモンが出て、全身の臓器に運ばれます。腎臓に行くとインスリンの働きを良くして糖尿病を防ぎます。肝臓に行くと中性脂肪を分解して脂肪を減らしてくれます。脳に行くと神経組織の新陳代謝をよくして、認知機能を向上させてくれます」
柳澤解説委員「骨が全身の臓器の司令塔ということですか?」
佐藤さん「はい。骨ホルモンは全身の老化を防いでいるのです。骨細胞だけが働かなくなる薬をマウスに与え、その後どうなるかを観察しました。人でいうと20代くらいの若いマウスですが、老化が一気に進んで歩くのがおぼつかなくなりました。薬をやめ骨細胞が元に戻ると再び元気になりました。この結果から骨細胞が全身の機能に影響を与えていると考えています」

   では、その大切な骨をケアするにはどうしたらよいか。

金沢さん「食事や日光浴でビタミンDをしっかり補給することと、骨に重力がかかる運動をすることです。階段の上り下りがいいです」
ゲストの女優・益若つばささん「ヨガはだめですか?」
金沢さん「ほかの健康にはいいですが、骨のことを考えると、もっと運動量が強いものでないといけません」
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