東京メトロは2017年12月17日、今の銀座線が1927年に開業した際の様子を再現した特別列車を運行した。開業時に走っていた車両をモチーフにした「1000系特別仕様車」が使用され、普段は乗客が乗ることができない「引き込み線」も走行した。
20年以上前に銀座線で見られた、線路の継ぎ目で一瞬車内が暗くなって補助灯がつく様子も再現され、乗客からは「懐かしい」といった声があがっていた。
営業路線では通らない踏切と「引き込み線」も通過
今回使用されたのは、90年前に上野-浅草間で開業した際に走っていた「1000形」をモチーフにした「1000系特別仕様車」。運転士や車掌も、開業当時を再現した制服に身を包んだ。
特別列車は上野駅近くの地上にある車両基地「上野検車区」(台東区)を出発。出発直後、全国の地下鉄では唯一の踏切を通って地下の上野駅に入った。その後、約1時間半をかけて上野→浅草→渋谷→上野と移動。浅草と渋谷では、「引き込み線」に乗って折り返した。踏切、引き込み線のいずれも営業列車は通らない場所で、今回のようにイベント列車という形で乗客を乗せて走るのは珍しい。
「幻の駅」として知られる旧「万世橋」駅(末広町~神田間)と旧「神宮前」駅(表参道)の前では徐行し、乗客は熱心にシャッターを切っていた。最も乗客の関心を引いていたのが、「瞬間停電」だ。
銀座線は、電車の屋根のパンタグラフではなく、「3本目のレール」から電気を取る方式で、旧型車両ではポイントなどを通過する際に一瞬停電し、予備灯がついていた。現行の1000系の1代前の01系(2017年引退)が完全に導入された1990年代には停電は解消されたが、「1000系特別仕様車」では、あえて停電を再現。前方の車両から次々に車両が暗くなって補助灯がつくたびに驚きの声があがっていた。