マクラーレン・オートモーティブ(以下マクラーレン)は、2017年12月10日、新たなロードカーである「McLaren Senna」(以下「Senna」)を公開した。往年の名F1ドライバー、故アイルトン・セナの名を冠した車だ。
「かっこいい」といった声もありながら、一方で「Senna」という名前については、複雑な心境を覗かせる人も見られる。
ロードカーでありながら800馬力を発生、価格は1億円越え
マクラーレンの公式ホームページによると、「Senna」はマクラーレンの高級車クラス「アルティメットシリーズ」の最新車にあたる。サーキットで走ることを想定したロードカー(公道を走ることのできる非レース用の車)で、「サーキット仕様の究極のマクラーレン・ロードカーを生み出すこと」を目指して生まれたという。
「Senna」という名前は、マクラーレン・ホンダなどで活躍したアイルトン・セナの「まったく妥協のないレベルにまで自分を高めるのだ。自分の全てを、まさに全てを捧げるのだ」といった言葉などからインスピレーションを受けたことにあるといい、またその栄光を称えるべく開発に至った。
重さはマクラーレンのロードカーで最軽量の1198kg。4.0リッターツインターボチャージャーV8エンジンを搭載し、800馬力を発生する。
英国のマクラーレン生産センターにおいて2018年から手作業で作られるといい、生産台数は500台だが、すでに全車成約済み。値段は75万ポンド(約1億1325万円)で、最高速度や加速性能といったデータは公開されていない。
ネット上では、
「マクラーレン・セナ めっちゃかっこいいやん」
「全体的に曲線が多めだったマクラーレンですが、今回のセナは直線も所々に取り入れていて、男っぽい感じが増しています」
「セナなんてネーミングなんて ずるい」
と、車の名前や外見について、好意的な声が見られた。
「今のマクラーレンにセナの名は使って欲しくない」
一方で、
「アイルトン セナの名前は 孤高のF1ドライバーとして触れないで欲しかった」
「今のマクラーレンにセナの名は使って欲しくない」
と、「Senna」という名前に抵抗感を示す向きもある。マクラーレンは2015年から、23年ぶりにホンダとともにF1に参戦。88年から91年まで圧倒的な成績を残した「マクラーレン・ホンダ」の復活が目されたが、3年間のシーズンを通して苦戦が続き、2018年からはマクラーレンはホンダと決別した、という経緯がある。
アイルトン・セナはロータス・ホンダなどで活躍したF1ドライバー。「音速の貴公子」の名で知られ、マクラーレン・ホンダに移籍した1988年には初めてF1の年間チャンピオンに輝いた。その後90年、91年にも連続して年間チャンピオンとなった。
真後ろについたナイジェル・マンセルを完璧にブロックし続けて優勝した92年の第6戦モナコグランプリなど、印象的なレースも多いレーサーの1人だった。
しかし、94年5月1日、第3戦サンマリノグランプリ・イモラサーキットのタンブレロコーナー付近で突如車の制御を失い壁へ激突。34歳で夭折したが、現在でもアイルトン・セナは数々の人から最高のレーサーとしての評価を受けている。
実際、英国のテレビ番組「Topgear」(BBC・Series15 Episode5)では、2005年の覇者であるフェルナンド・アロンソや、1998年のF1年間チャンピオンのミカ・ハッキネンなどが、セナについて「No.1のレーサーだ」と尊敬の念を語ったこともある。