年末年始は、家族連れでの買物が増える時期だが、子どもがショッピングカートから転落して重傷を負う事故が後を絶たないため、消費者庁は2017年12月8日、「子どもから目を離さないで」と保護者に注意を呼びかけた。
3歳児が頭から床に転落すると90%が頭部を損傷
消費者庁の発表資料によると、子どもが買物中にショッピングカートから転落する事故は毎年20~40件報告されている。1~3歳児が大半で、重い頭から床に落ちるため、8割以上が頭や顔面にケガを負う。このため、頭蓋骨骨折や顔の縫合手術といった重傷になるケースが多い。
カートの高さは平均で約70~80センチあるが、3歳児が73センチ以上の高さからコンクリートの床面へ頭から転落した場合、頭蓋骨骨折・顔面骨折・意識喪失など頭部損傷のリスクが90%以上になるという研究がある。
親が目を離したすきにカートの上に立ちあがったり、商品に手を伸ばそうとして身を乗り出したりして転落するケースが大半だ。中にはカートにもぐったり、よじ登ろうとしたりしてケガをする場合もある。主な事故のケースを紹介すると――。
(1)カートに後方からよじ乗ろうとして、頭部から転落、頭蓋骨骨折(11か月男児)
(2)カートに乗っていたところ、転落して後頭部を打撲。意識はあったが、吐き気が続いたため、受診しCT検査を受けると、後頭部に急性硬膜外血腫があった(1歳女児)。
(3)カートに立って乗っていた時に、母親が目を離したすきにカートごとひっくり返った。頭部を打撲。さらに母親が抱きあげると激しく泣いたため救急要請し受診すると上腕を骨折していた(11か月男児)。
(4)カートを押して走り壁に激突、頭部を打撲した。右目の下を切り、2針縫合(3歳男児)。
(5)レジ前の会計待ちの時、カートの下段で揺らして遊んでいると、カートが転倒。親指が骨折、爪が剥離していた。手術し入院(2歳男児)。
幼児用座席のないカートには絶対に乗せない
こうした事故を防ぐため、消費者庁では次のように注意を呼びかけている。
(1)カートに子どもを立たせたり、幼児用座席のないカートに乗せたりしない。
(2)幼児用座席を利用する時も、目を離さず、安全ベルトがある場合はしっかり締める。