計算テストの答案に「途中式」を書いたら不正解に――。小学校に通う子供が、教師からこうした指導を受けていると訴えた父親の報告ツイートが、インターネット上で注目を集めている。
この父親の投稿には、「うちも全く同じ」「『消すように』と指導されてた」と共感の声が広がったほか、こうした指導法に「意味がわからない」と困惑するユーザーも続出している。実際、小学生に「途中式」を書かないように指導するのはよくあることなのか。J-CASTニュースが取材した。
「いったい、どういう指導をしているのか」
途中式に関するツイートは、小学校に通う子供を持つという父親が2017年12月11日朝に投稿したものだ。
投稿ではまず、小学校で配られた算数の問題集を解いていた子供について、「途中のメモの式を消しゴムでいちいち消すと言う妙な癖がついている」と報告。そこで「(途中式を)なんで消すの?」と聞いたところ、
「余計な式が残ってたら×にされるから」
との答えが返ってきたという。
この父親は続くツイートで、「10×2+3」という計算問題を例に挙げ、
「(子供に)10×2+3=20+3=23と書きなさいと言うと、これも×にされると言い張る。10×2+3=23と途中式を書いたらいけないんだ、と言い張る。ほんとにいったい、どういう指導をしているのか謎ですごく困る」
と学校での指導に疑問を呈した。その上で、「家庭学習では気をつけていますが...しかし『学校の先生が○○って言った!』と戦うのは大変なんですよ」とも訴えている。
こうした「途中式」をめぐる父親の訴えは、ネット上で大きな注目を集めることに。ツイッターやネット掲示板には、この指導法について、「途中式が無いとどうやって解いたかわからない」「こんな癖ついてたら、中学や高校の数学でしんどいぞ」とデメリットを指摘する意見が続出。さらに、
「うちの子供も途中式書かないなぁと思って聞いたら去年の担任にそう教わったそうだ」
「10年以上前の小学校で『消すように』と指導されてたな。姪っ子たちの面倒見てて『先生に言われた』いうてた」
「うちの妹のとこもこれだな~ 途中式だめ」
など、この父親に共感する声も広がることに。ただ一方で、「逆に途中式を残さないとバツでした」との意見も目立っていた。
「できるかぎり暗算をするよう教えています」
はたして、小学生に計算の「途中式」を書かないように指導するケースはよくあるのか。大阪市内の中学受験専門塾「進学塾クレスタ」の担当者は12月14日、J-CASTニュースの取材に対し、
「確かに、計算問題で途中式を書かない子供はいます。ただ、それが学校での指導なのか、個人のやり方なのかは分かりません。ですが、私どもの塾では途中式を必ず書くように指導しています。入試の受験では、途中式への配点がある学校もありますから」
と話した。また、神奈川県内の小学校で6年生のクラスを持つ20代の男性教師も、
「途中式を書かないように、という指導は初めて聞きました。むしろ、書くように指導する教師がほとんどだと思います。カンニングの防止にもなりますし、途中式がないと本当に子供が理解できているのか分かりません」
と訴える。
一方、途中式を書かないよう小学生に指導しているというケースもあった。東京都内の中学受験専門塾で、担当者に理由を聞くと、
「中学受験の場合は、問題を解く時間が非常に限られていますから。簡単な計算であれば、時間の効率を重視して途中式を書かず、できるかぎり暗算をするように教えています」
と説明した。ただ一方で、「小学校でこのように教えているという話は、私は聞いたことがありません」とも話していた。