四国電力の伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを広島市、松山市の住民が求めた仮処分の即時抗告審で、広島高裁(野々上友之裁判長)は2017年12月13日、申し立てを却下した3月の広島地裁の決定を覆し、四電に運転の停止を命じる決定を下した。熊本県の阿蘇山で大規模な噴火が発生した場合、火砕流が原発まで到達する可能性は小さいといえないと判断した。原発の運転停止を命じる司法判断は、高裁では初めて。
仮処分はただちに法的な拘束力をもち、今後の司法手続きで決定が覆らない限り運転を再開できない。伊方原発3号機は10月から定期検査で停止中だ。2018年2月に検査を終えるが、今回の決定で再稼働できない可能性が高まった。
仮処分の決定を受けて、四電は公式サイトで「当社の主張が認められなかったことは、極めて残念であり、到底承服できるものではありません」とのコメントを発表。「決定文の詳細を確認の上、速やかに異議申し立ての手続きを行います」と、広島高裁に保全異議申し立てと仮処分の執行停止の申し立てをする方針を示した。
一方、原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は2017年12月13日の定例記者会見で、「原子力規制委員会は当事者ではないので、この訴訟にコメントする立場にない」とした上で、「(東京電力)福島第一原発の事故や国内外の知見、経験をふまえて基準を策定し、審査と認可を行っている。その責任を果たすのみ」と述べた。