「1万9000人削減」も「物足りない」?
他のメガバンクを見ると、三井住友FGの2017年9月中間連結決算は、純利益が前年同期比17.0%増の4201億円だった。利ざや縮小によって業務純益(三井住友銀行単体ベース)は40.4%減の3053億円と、みずほFG並みの減少幅で悪化したものの、持ち合い株式の売却益のような一時的な利益や海外事業の拡大などが全体の利益を押し上げた。三菱UFJ・FGの2017年9月中間連結決算の純利益は前年同期比27.8%増の6269億円だったが、業務純益(三菱東京UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行の2行合算ベース)は13.3%減って4422億円と本業が厳しいことは同じだ。そうした中で3メガのうち、みずほFGのみ純利益が減益なのは、海外展開の出遅れなどを含め、全体としてライバルより稼ぎにくい体質にあるためだ。
そこで経営効率化となる。
みずほFGが11月に発表した工程表によると、2021年度に現在の全従業員(パートを含め7.9万人)の1割にあたる8000人を減らし、1000億円超の経費を圧縮する。さらに、26年度末までに計1万9000人を減らす。他の2メガバンクもIT活用による経営効率化を検討しているが、「9500人分の業務量を減らす」(三菱UFJFG)、「4000人分の業務量を減らす」(三井住友FG)と「業務量」に着目するのに対し、みずほFGは「配置転換でなく実数を減らす」(佐藤康博社長)と踏み込んだのも、業績や株価を意識したものだろう。ただ、実数とは言っても希望退職者を募集するわけではなく、旧3行(日本興業、第一勧業、富士)時代のバブル期大量採用者が転籍・退職を迎えるなかで新規採用を抑える「自然減」ではある。工程表公表後もみずほFGの株価は伸び悩んでおり、株式市場は「物足りない」と見ている可能性がある。