週刊少年サンデーで連載中の人気漫画「名探偵コナン」(作:青山剛昌)で、作中最大の謎の1つだった敵組織のボスの名前が「烏丸蓮耶(からすま・れんや)」との情報が飛び出し、読者をザワつかせた。
極めて重要な情報のはずだが、インターネット上では「物語が動いた!」という好意的な反応ばかりでなく、「面白みはあまりない」との声も散見される。その胸中とは――。
「阿笠博士」説もたびたびささやかれたが
「名探偵コナン」は週刊少年サンデーで連載中の推理漫画。主人公の高校生「工藤新一」が謎に包まれた「黒の組織」に薬を飲まされて体が小さくなり、小学生の「江戸川コナン」として「黒の組織(黒ずくめの組織)」やその「ボス(通称:あの方)」らの正体に迫ろうと奔走する。
連載は1994年に開始し、単行本は2017年12月18日に最新94巻が発売予定という超長期連載漫画だが、物語の中軸である「組織」にまつわる情報は断片的にしか明かされていない。「あの方」という言葉でボスの存在が初めて示唆されたのは1999年発売の24巻だが、直接描写されることは皆無に等しく、謎に包まれている。
読者は限られた情報をさまざまな角度から分析し続けており、考察ブログや考察本も複数存在する。ネット掲示板でも専用の考察スレッドが長年続いており、ボスの考察について確認できる範囲では今から12年前、2005年4月に「コナンのあの方が誰なのか推理するスレ」が立っていた。1つ目の書き込みは「いづれ明らかになるであろう名探偵コナンの黒の組織のボス あの方が誰なのかを推理してみよう 多分、いままで出てきたキャラだと思うのだが」とある。
作者の青山剛昌さんも折に触れてヒントを出してきた。たとえば2006年1月13日の朝日新聞夕刊のインタビューでは「実は、ボスの名前はすでに原作のどこかに出ている。捜してみて下さい」と発言。サンデーでの連載と照らし合わせ、単行本53巻までには登場した名前ということで考察を一層加速させた。
議論の中では有力候補として、コナンの隣家の住人で家族ぐるみの付き合いがある科学者「阿笠(あがさ)博士」や、コナンの小学校の同級生「円谷光彦」といった身近なキャラも盛んに取り沙汰されていたが、いずれも確証は得られていなかった。また、青山さんは11年10月28日の「クラブサンデー」公式ブログでのインタビューで、ボスの正体を問われて「阿笠博士じゃないよ(笑)」と答えており、読者の更なる議論を呼んだ。
そんなわけで「できれば私が生きている間に最終回を見たい」との声が出るほどミステリアスな作品だが、2017年12月13日発売のサンデーでは、遂に「あの方」の名前が「烏丸蓮耶(からすま・れんや)」との情報が飛び出した。コナンの父・工藤優作による「推理」ではあるが、最終ページの枠外に「ついに辿りついた組織のボスの正体」という記述があることや、工藤優作が作中随一の頭脳をもち「この絶対的なポジションに置かれるキャラがミスリードするなんてことはまず考えられない」との推測から、「あの方」に間違いないと受け取られている。
「烏丸蓮耶」自体は有力候補の1人だった。ネット掲示板では「順当な結果」「大方の予想通り」と受け入れられているほか、「やっと物語が大きく動き出したな」「これで考察も深いところまで進めるしかなり面白くなる」と期待も高まる重要な情報だが、一部読者は腑に落ちていないようだ。