「カセットって知ってる?」と後輩記者(1994年生まれ)に聞いてみた。
「カセット......? フロッピーみたいなヤツですか」
「それはMDだと思う」
「MDとカセットって違うんですか」
無理もない。MDの普及が進んだ2000年ごろ、まだ彼は小学校に入るか入らないか。20代前半より下の世代は、カセットやその再生機器の「ラジカセ」など、触ったこともないはずだ。
ところがそんな若者に、今「ラジカセ」が売れているという。
見た目は80年代、中身は2017年モデル
「ヤバい!これほしい!」「欲しい、クリスマスに買って欲しい」――そんなツイートが続出したのは、「SANSUI(サンスイ)」ブランドでドウシシャ(大阪市)が2017年9月に発売したラジカセ「SCR-B2」だ。
角ばったメタリックなボディー。所狭しと備え付けられたスイッチやダイヤル。左右の円形のスピーカー。まさに、1980年代にタイムスリップしたようなデザインだ。
「1月の展示会に試作品を出品したところ、参加した小売業界の方々からたいへん好評をいただきまして......『このデザインが、新商品なの!?』と」
そう笑うのは、ドウシシャの担当者である。
デザインは80年代だが、中身はちゃんと2017年モデルだ。Bluetoothを搭載し、スマートフォンなどと接続して音楽などを流せるのをはじめ、SDカードやUSBメモリの再生にも対応する。また、これらの音源をカセットに録音することも可能だ。
あるユーザーが11月23日、売り場で見かけたこの「ラジカセ」をツイッターに投稿したところ、一気に話題に火が点き、12月12日までに7600回以上もリツイートされている。