天丼チェーン「天丼てんや」を展開する株式会社テン コーポレーションは2017年12月11日、メニューの値段の値上げを発表した。同店の顏で創業以来続けてきたワンコイン天丼(税込500円)は同540円になる。
外食チェーンの値上げには批判が付き物だが、「てんや」に関しては様子が異なっている。企業努力で美味しい天丼を低価格で提供し続けてきたとし、「よくここまで頑張った!」「値上げは仕方ない!」といった応援がツイッターや掲示板に出ている。
「死守して行きたい」と語っていたが...
テン コーポレーションは18年1月11日から「500円天丼」を税込み540円、「えび野菜天丼」を20円値上げし同650円、「海老穴子天丼」を10円値上げし980円、「天ぷら盛合わせ」を30円値上げし460円にすると発表した。また、定食はご飯のお替わりが自由だったがこれをやめ、大盛りを無料にする。値上げの理由は原材料費、人件費、物流費といったコストの上昇が続いているためで、食材の選定方法の見直しや、省人化機器の導入を進めて来たものの、コストの上昇には追いつけなかった、と説明した。
この「500円天丼」、ファンの間では値段にしてはクオリティーが高いとして評判だった。同社、そして用松靖弘社長の魂を込めた商品で、コストに見合わなかったのだろう用松社長は、
「4割のお客さんがワンコインを注文します。大きな支持を受けており、今後も死守していきたいですね」( 日経MJ<流通新聞>15年10月26日)
などと語っていた。17年に入ってからも、日経ビジネスオンラインのコラム(5月12日配信)で、
「500円の天丼を磨きに磨きつつ、季節感を大事にするてんやの常連の方を飽きさせず、一方では天ぷらになじみの薄い若い世代も取り込む」
と書いていた。ネット上では今回の値上げは用松社長にとって相当な無念だったのでないか、といった感想も出た。
「値上がりは仕方ないかな?」
J-CASTニュースがテン コーポレーション広報に17年12月12日に取材したところ、米やエビなどの食材が16年から値が上がり、18年以降も続くことが予想されるため今年度下期に入ってから店舗の社員の意見を含め検討を重ねてきた結果、このままでは商品のクオリティーの維持や会社としての健全性を保てない、と判断した。用松社長は、
「天丼が税込み500円、そしてワンコインというキャッチフレーズを維持して行きたいと頑張って来ましたが、本当に残念な思いです。お客様には本当に申し訳なく思っております」
と語っていたという。そうした思いが伝わっているのだろう、外食チェーン店の値上げになると決まって批判が巻き起こるのだが、「てんや」に関しては少し異なった反応なのだ。
ツイッターや掲示板には、
「よくぞこの価格で頑張ってたもんだ」
「てんやの天丼は500円で良くできるな、という内容だったから。値上がりは仕方ないかな?」
「頑張ってくれたと思う。てんやうまいから好きだ!」
「いや、お値段以上の味だと思ってる」
などといった応援コメントが書き込まれている。