核ミサイル開発を進める北朝鮮との間で、一触即発の緊張が高まっている米軍。思わぬ大敵が獅子身中にいるようだ。それは、米軍兵士が吸うタバコ。
米軍兵士が軍事訓練中に筋肉や骨格を負傷する事故が多発しているが、「喫煙も大きな原因のひとつ。すべての兵士は禁煙すべきだ」という研究を米陸軍医療センターのチームがまとめ、スポーツ医学誌「Medicine&Science in Sports&Exercise」(電子版)の2017年11月号に発表した。
軍事訓練中に筋肉断裂、骨折で負傷する兵士が続発
同誌の論文によると、米国軍人の喫煙率は非常に高く、約35%だ。これは一般的な米国人の平均約19%の2倍に近い。軍事訓練中に筋肉断裂、ひざの関節骨折、大腿骨骨折、アキレス腱切断など筋肉や骨格を負傷する重症事故が後を絶たない。たとえば、陸軍の基礎訓練は入隊後8週間行なわれるが、期間中に少なくても男性兵士の3分の1、女性兵士の3分の2が負傷して、入院や外来診察の医療ケアを余儀なくされ、戦列から離れてしまう。訓練中のケガは米軍の戦力を揺るがす大問題なのだ。
米陸軍医療センターのシェリー・ベドノ博士らは「異常に高い兵士の喫煙も、訓練中のケガを引き起こす原因になっているのではないか」と考えた。そこで、2016年10月までに世界中で発表された「喫煙と筋肉骨格に関する」論文計129件を分析した。うち18件の論文の信頼度が高いと判断して、米軍兵士の喫煙の強さと負傷事故に当てはめて検討した。
その結果、やはりタバコを吸う頻度が高い兵士ほどケガをするリスクが高いことがわかった。具体的には次のとおりだ。