凸版印刷と寿技研(埼玉県八潮市)は2017年12月8日、医師や医学生が手術の練習に使う「模擬臓器」を野菜や穀類など植物性の食品原料を使って開発したと発表した。
柔らかさや感触が本物の臓器に近く、胃や肝臓などさまざまな臓器を再現できる。動物の臓器を使うことが、動物保護意識の高まりから難しくなっており、大学病院や医療機関などに12月中旬から販売を開始する。
動物保護意識の高まりとニオイの問題解決
両社の発表資料によると、寿技研が開発した植物性食品を原料とした新素材と、凸版印刷が持つ医療分野の技術を組み合わせた。現在、医師の手術の練習には、動物の皮膚や臓器、シリコン樹脂が使われている。だが動物の皮膚や臓器は使用が難しくなっているうえ、ニオイが強く、廃棄処理も煩雑だった。
今回開発した素材は植物性食品を原料としているため、使用後の廃棄が簡単で、常温で長期間保存できる。さまざまな手術手技のトレーニングに活用でき、電気メスや超音波メス、超音波画像診断などにも対応できる。