ウオーキングで歩いた歩数をスマートフォンの健康アプリで測る人が増えている。しかし、どの程度正確に運動量を反映しているのだろうか。
カナダ・ブリティッシュコロンビア大学の研究チームが検証した報告をスポーツ科学誌「Journal of Sports Science」(電子版)の2017年11月20日号に発表した。実際より少ないデータが出るという。研究者は「1万歩という数字が出たら、もっと歩いているわけだから、自信を持って利用しよう」と呼びかけている。
ゆっくり歩くと歩数を拾うのが苦手?
論文によると、研究チームが正確に運動量を反映しているか調べたのは、サムスン電子のiPhone向け健康アプリだ。活動量や歩数などが測定できる。29人の男女(平均年齢22歳)の協力を得て、次の2つの方法で正確さをチェックした。iPhoneは本人所有の物と研究室提供の物と2つを使った。
(1)トレッドミル上を60秒間隔で、非常にゆっくりのペースから、ジョギングに近い速足まで、さまざまなスピードで歩く。その際、女性ならハンドバック、男性ならズボンのポケットやバックパックといった風に、ふだん自分がスマホを持つスタイルのまま歩く。それを研究者が目で見て、正確に歩数をカウントした。
(2)3日間にわたり、腰に身体活動量計を装着、スマホを持ったまま、ふだん通りの日常生活を送ってもらう。そして朝晩、活動量計とスマホアプリのデータを記録する。
この結果、(1)のトレッドミル上を歩く実験では、スマホの歩数は研究者が実測した数値より、7.6%~9.4%低い数字が出た。特に、時速2.5キロ程度の非常に遅いスピードで歩く時は誤差が大きかった。
また、(2)の日常生活ではスマホアプリはもっと低い数字を示した。腰に装着した活動量計に比べ、3日間で平均21.5%の低かった。これは1日当たりの歩数でいうと、1340歩も少ない数字だ。
エネルギー消費量などではかなり正確な数値
こうした結果について、研究チームのガイ・フォークナー博士は、論文の中でこうコメントしている。
「スマホアプリが、日常生活の中で低い数値を示したのは、家の中ではゆっくり歩くことが多いため、誤差が大きくなったことと、テーブル上などに置いて、持ち歩かない人がいたためです。この研究の目的は、アプリの不正確さを指摘することではありません。実際の活動量をどの程度反映しているか知るためでした。結果は歩数では低い数字が出ましたが、エネルギー消費量ではかなり正確な数値が出ています。スマホの歩数より、実際は多く歩いているのだと自信を持ち、利用することが大事です」