東京都杉並区が、ふるさと納税で税収が減って保育園整備などに悪影響が出ていると訴えるチラシを配ったことに、ネットなどで冷ややかな声が集まっている。
「住民税が流出しています」。チラシでは、街路樹のある通りの写真に大きくこの見出しが躍っており、インパクトがある。
「納税者に『お願い』するのはお門違い」
チラシの裏面では、区民が他の自治体にふるさと納税すると、区の住民税が減額されてしまい、行政サービスに影響が出ると説明文で訴えた。保育園のほか、学校や道路の整備、ごみ処理といったサービスが低下すると、イラストで示している。
杉並区の区民税は、ふるさと納税の結果、2017年度は13.9億円の減収となり、18年度はさらに増えるかのようにグラフも載せた。
杉並区のふるさと納税担当者は12月6日、J-CASTニュースの取材に対し、チラシは、2万5000部を作って、11月4、5日の「すぎなみフェスタ」に区が出展して来場者に配り、同じ時期から自治会などの回覧板にも入れてもらったと明かした。
このチラシが区民に配布されたことが12月5日に一部で報じられると、ツイッター上などでは、様々な意見が飛び交った。
チラシに批判的な声としては、「制度がある以上こういう事言うの変でしょ」「納税者に『お願い』するのはお門違い」「ふるさと納税を頑張らない自治体が悪い」「地方で生まれた子供が、地方の福祉と教育によって成長し、上京して東京で納税してるという構図がある。その税金を地方に還流させる施策自体は悪ではないよ」などと書き込まれている。
杉並区自身も4月からふるさと納税開始
担当者によると、区民からも、「何を言っているんだ!」「ふるさと納税をするなと言うのか」「杉並のラーメンを出すとか努力しろ」といった意見があった。担当者も区の努力が足りないと指摘されたことについては、「確かに目玉がないので、太刀打ちできないのは正直なところあります」とは認めた。
一方で、区は、17年4月からチャリティーなどに絞ったふるさと納税を始めた。障害者施設が制作した製品を返礼品としており、「障害者の仕事が生まれ、収入につながります」という。チラシに対しても、「そんなに税収が減ってるとは知らなかった」などと理解を示す声が多かったとしている。