「ビタミン説」「がんが治る」根拠なし
農水省は、レシピサイトに掲載されているビワの種を使った料理にも警鐘を鳴らしている。大手サイト「クックパッド」には、注意喚起が出た12月6日時点ではまだ、ビワの種の粉を使った杏仁豆腐のレシピが複数紹介されていたが、8日には削除されていた。それでも、種を酒や酢に漬けこんだレシピにはビワの種について「栄養豊富で薬効もあるようです」「血液サラサラ、免疫力高める成分が含まれているらしい」「ビタミン17が含まれている」との記述がそのままになっている。
別のレシピサイトや個人ブログには今も、「ビワの種の杏仁豆腐」のレシピが残っているところがある。種を乾燥させて皮をむき、刻んだりおろしたりして使うというのだ。ビワの種の粉末を取り扱い続けているインターネット通販業者もある。あるまとめサイトはビワの種の「抗がん作用」をうたい、末期がんと診断された犬にビワの種の粉末を与えたら数週間でがんが治ったという「エピソード」まで披露していた。
国立健康・栄養研究所のサイトによると、過去にアミグダリンをビタミンB17と呼び、ビタミンとする主張があったが、現在では否定されており、「ビタミン17と呼ぶことは適切ではありません」と断定している。
がんとの関係について、「アミグダリンはビタミンの一つ」「アミグダリンの欠乏ががんや生活習慣病の原因となる」「アミグダリンはがん細胞だけを攻撃する」というのは、科学的根拠が現時点で確認できていない、または否定されていると同研究所では説明。米国国立がん研究所も「むしろがんの治療、改善および安定化、関連症状の改善や延命に対しいずれも効果がなく、むしろ青酸中毒をおこす危険性がある」と結論を出している。海外では、がん患者がアミグダリン3グラムを摂取した後に深いこん睡やけいれんを起こし、その後死亡した事例がある。