北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射しているのに続いて、メディアでも攻勢を強めているようだ。これまでは標準画質(SD)で放送されてきた朝鮮中央テレビの番組の大半がハイビジョン(HD)化された。今後はミサイル発射や金正恩氏の動画も高画質化しそうだ。
北朝鮮のIT情報を集めた専門技術サイト「ノースコリア・テック」などによると、中国中央テレビが2012年、朝鮮中央テレビに対して80万ドル(約9000万円)相当の放送設備を支援。撮影・伝送機材面でHD対応を進めてきた模様だ。
生活水準向上で16対9の新型テレビが普及?
2015年には送信用の回線をHD対応したタイの衛星のものに切り替えた。だが、この回線を通じて送られてくる番組はSDのもので、16対9のHD画面の中に4対3のSD画面が映し出され、画面の左右に黒い帯が入っている状態が続いていた。
だが、17年12月4日からは番組もHD化。左右の黒い帯がなくなり、ニュース番組冒頭のCGも、16対9のサイズに合うように作り直されたように見える。韓国のKBSは3月24日にSDとHDの映像を交互に送出する試験放送が行われていたと報じており、試験放送の結果を踏まえて本放送に移行した模様だ。KBSは北朝鮮消息筋の話として、
「最近、北朝鮮の住民の生活水準が向上し、4対3の比率の旧式テレビはほとんど消えて16対9の比率の新型テレビが普及していることと関連しているようだ」
と分析している。
「海の向こうからも煽られる状況に...」
そんな中、国内ネットで比較の対象となっているのがニコニコ動画だ。11月28日には新バージョン「ニコニコ(く)」(ニコニコクレッシェンド)について発表会が開かれ、配信者と視聴者の双方向性を高めた「ニコキャス」が新たに登場することなどが発表された。しかし、中継動画のコメント欄では、読み込みの遅さや低画質といった基本的な点が改されないことに対する批判が相次ぎ、ドワンゴの川上量生会長が「あと半年待ってほしい」と理解を求める事態に発展した。
今回、ツイッターでは
「ニコニコが画質の件でウダウダしてたらSD画質で垂れ流してた朝鮮中央テレビがHD化してしまい、海の向こうからも煽られる状況になってるの大変興味深い」
「『お前んちの画質、朝鮮中央テレビ以下だな』ってすっごい煽り力だな」
といった声がでた。こうしたツイートは共感を呼び、2600回以上リツイート(転送)されたものも。なお、「ニコニコ生放送」では、北朝鮮関連の動きがありそうな時は朝鮮中央テレビを配信しており、12月7日の配信でも1万人程度が視聴していた。