「書ける記者」探しが活発に
現役の出版ラッシュにOBも負けていない。元読売記者の清武英利さんは毎年のように新刊を出しているが、今年も7月に『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(講談社)、11月に『空あかり 山一證券"しんがり"百人の言葉』(講談社)など、現役時代のネタ元との関係を保ちながら再取材を重ねている。アフロヘアと節電生活でネットでも有名な元朝日記者の稲垣えみ子さんは6月に『寂しい生活』(東洋経済新報社)、9月に『もうレシピ本はいらない』(マガジンハウス)と忙しい。
朝日の文化記者だった隈元信一さんは11月に『永六輔』(平凡社新書)を出している。
出版界からすると、新聞記者はすでに取材済みの話を書くので、コスト的にも安上がり。加えて、筆力のある記者ならあまり手間もかからない。しかしながら、真面目な本が多く、これまでベストセラーが少なかった。今年は『未来の年表』『新聞記者』のようなヒット本が出ていることもあり、「書ける記者」「売れるテーマ」探しがこれから活発になりそうだ。