毎日と朝日が「校閲」で競う
大手では朝日新聞の攻勢が目立つ。ライブドア事件、JAL破たん、原発事故関連などでも著書がある大鹿靖明記者は9月、『東芝の悲劇』(幻冬舎)を出して4刷。同じく経済関係では鯨岡仁記者が『日銀と政治』(朝日新聞出版)を10月に出版し、日経新聞でも紹介されていた。世界的に問題になっているタックスヘイブン問題では、パナマ文書でも活躍した奥山俊宏編集委員が、続編ともいえる『パラダイス文書』(朝日新聞出版)を11月に出した。奥山氏は昨年出版した『秘密解除 ロッキード事件』(岩波書店)で今年12月、第21回司馬遼太郎賞に決まった。
このほか、5月に元中国特派員の吉岡桂子編集委員が『人民元の興亡』(小学館)、林望記者が『習近平の中国』(岩波新書)、金順姫記者が10月に『ルポ 隠された中国』(平凡社新書)と中国関係も立て続けだ。長く科学記者を務めてきた高橋真理子さんは9月に『重力波発見!』(新潮社)を出している。
毎日新聞では、埼玉の祖父母殺しを扱った山寺香記者の『誰もボクを見ていない』(ポプラ社)が好調だ。6月の出版だが、アマゾンの「事件」ジャンルでトップに立ち、J-CASTのブックウォッチのランキングでも上位をキープし続けている。
このほか5月に元中国特派員の工藤哲記者による『中国人の本音』(平凡社新書)なども出ているが、何といっても「校閲グループ」の活躍ぶりが目をひく。3月に『毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文章術』(ポプラ社)、9月に『校閲記者の目』(毎日新聞出版)と連発、売れ行きも良いようだ。同じく校閲関係では朝日新聞の前田安正記者が4月に出した『マジ文章書けないんだけど~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~』(大和書房)などで対抗している。