衆院選のたびに、国民審査の対象になるわけではない
国民審査の対象は、憲法の規定で、最高裁判所の裁判官に任命されたあと初の衆院選の時と、その後10年を経過した後に初めて行われる衆院選の時。今回の寺田氏は、2010年12月に最高裁判所裁判官となり、14年4月に長官となった。規定に基づき、12年12月の衆院選の際に国民審査の対象となった。仮に今回、定年退官がなかったと仮定しても、次の国民審査の対象になるのは、22年12月以降の衆院選の時だ。直近の衆院選(17年10月投開票)の当選議員らの任期は4年なので、21年秋までには、「次の衆院選」が行われる。ということは、寺田氏は少なくとも「次の衆院選」の国民審査の対象にはならなかったことになる。
国民審査について、衆院選のたびに「全(最高裁判所)裁判官が対象になるわけではない」という事が、必ずしも「常識」として広く浸透しているわけではない、という状況を浮き彫りにしたことは、退官間近の寺田長官の思わぬ置き土産になるのだろうか。