子宮頸がんワクチン問題めぐる英表彰、報じられぬ日本 新聞では「産経」「道新」のみ

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   英科学誌ネイチャーなどが「困難や敵意にぶつかりながら、妥当な科学や公益に関する事柄の根拠を世界に広める人」を表彰するために創設した賞が、初めて日本人に贈られた。

   受賞したのは、京都大医学研究科非常勤講師の村中璃子(りこ)氏。子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)について、科学的な観点から多数記事を執筆し「安全性に関する根拠を明確に示した」というのがその理由だ。このワクチンをめぐっては、接種後に原因不明の痛みを訴える人が相次いでいるとして、日本では2013年に接種の推奨が中止されている。こういった状況を、発表資料では

「日本ではワクチンの恩恵について信頼性を傷つける誤情報のキャンペーンにさらされている」

などと批判している。こういったことが影響しているかは明らかではないが、英国では受賞が相次いで報じられているのに対して、日本での報道はきわめて少なく「黙殺」状態に近い。

  • 子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の安全性をめぐる記事が評価された(写真はイメージ)
    子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の安全性をめぐる記事が評価された(写真はイメージ)
  • 子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の安全性をめぐる記事が評価された(写真はイメージ)

25か国の95人、100点の候補から選ばれる

   賞は長年にわたってネイチャー誌の編集長を務めた故・ジョン・マドックス卿の功績をたたえて創設され、今回が6回目。25か国の95人、100点の候補から選ばれ、2017年11月30日(現地時間)に村中氏の受賞が発表された。主催者の発表文では、

「HPVワクチンは科学・医学コミュニティで認められ、世界保健機関(WHO)は子宮頸がんや他のがんを予防する鍵だとして評価している。日本では、ワクチンはその恩恵について信頼性を傷つける誤情報のキャンペーンにさらされており、その結果接種率は70%から1%未満に落ち込んだ」

として日本の状況を非難。中でも、審査員を務めたエコノミスト誌医療記者のナターシャ・ローダー氏は

「誤情報キャンペーンが成功している中で、村中氏は日本の若い女性がHPVワクチンの接種を受けられるように戦っている」

と功績を評価した。

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