高須院長「人任せにするな!逃げるな!これが医道ってもんだ!」
JR東日本が14年3月15日のダイヤ改正から、所有する新幹線、特急に医療支援道具7種を搭載する、と発表した際には、医師と思われる人物が、
「誰がこんなしょぼい装備で『わたし医者です』と名乗れるかよ。手を出して救えなければ医師免許を手放しかねぬ」
「院外だから医師賠償責任保険もカバーしてくれないので、親切心で名乗り出るからにはべらぼうな賠償を覚悟しなければならぬ」
などといった反発がツイッターに出た。これに対し高須クリニックの高須克弥院長は、
「居合わせた医者に全部おまかせするしかないだろうが!緊急なんだからそれでいいのだ。人任せにするな!逃げるな!これが医道ってもんだ!君には倫理は無いのか?」
「馬鹿なこと言うな!医師免許がそれほど大事か?人命のほうが大事に決まってるではないか!保身に走る人は医者になるべきではない」
などと応戦し、ネット上では、「新幹線で救命処置を行う医者はバカか?」といった論争に発展した。
宇多田さんはどこの国で飛行機に搭乗したのかは不明だが、アメリカやカナダでは「善きサマリア人の法」が施行されている。これは航空機内などで救助活動を行い失敗してしまった場合でも、善意の無償行為ならば責任は問われない、という法律だ。しかし、日本でこうした法律は施行されていない。
一方、日本航空(JAL)と日本医師会は16年2月から「JAL DOCTOR登録制度」を実施している。国内の航空会社としては初の試みで、医師の資格証を持つ「JALマイレージバンク」会員に任意で登録をしてもらい、機内で急病人が発生したときに、ドクターコールは行わずに乗務員が直接その医師に声掛けし医療対応をお願いする、というもの。仮に医療対応に起因し、医療行為を受けた乗客からの民事上の損害賠償責任が生じた場合は、故意、重過失の場合を除き、日本航空の損害賠償責任保険を適用する、などの内容となっている。全日本空輸も同年9月から、同様の「ANA Doctor on board」を運用している。