白血球が発見できない恐ろしい細菌
肺炎球菌性肺炎と風邪との見分け方を、秋津医院の秋津壽男院長が解説した。
秋津氏「わかりやすいのはタンの色。普通の風邪はほとんどがウイルス性の感染症なので、白っぽい、透明っぽいタンが多いが、黄色、緑、サビ色っぽくなっていたら、肺炎球菌のような細菌感染症が疑われる」
病院に行けば、尿検査で肺炎球菌に感染しているかどうかがわかる。怪しいと思ったらすぐ受診しよう。
危険な肺炎球菌だが、体の中で退治されにくいという怖い特徴もある。
肺炎球菌の細胞の表面には、「きょう膜」という殻がある。普通の細菌は白血球が食べて退治するが、肺炎球菌はきょう膜のせいで敵だと認識できず、食べられずに生き残ってしまうのだ。
肺炎球菌の退治には、左脇腹にあるこぶし大の臓器「ひ臓」が要となる。
ひ臓だけでしか作られない「マージナルゾーンB細胞」という免疫細胞が、白血球が見逃した肺炎球菌を見つけ、きょう膜に「抗体」という目印を付ける。すると白血球にも肺炎球菌が見えるようになり、退治してくれるのだ。
ひ臓は40代から軽く、小さくなっていき、それにともなってマージナルゾーンB細胞も減少し、肺炎球菌を退治する力もダウンしてしまう。
肺炎球菌性肺炎の予防には、マージナルゾーンB細胞を活性化、パワーアップさせる「肺炎球菌ワクチン」が有効だ。
65歳を過ぎたら一度は接種すべきだが、そしがや大蔵クリニックの中山久徳院長は、65歳未満でも、糖尿病や呼吸器疾患、免疫疾患がある人は接種するよう勧めた。該当する人は是非医師と相談を。
日本薬科大学の丁宗鐵学長は、肺炎予防に漢方薬の補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を推した。
病気の悪化を防ぐには食欲が低下しないようにするのが大事で、服用すれば胃腸の働きを整え、食欲不振の改善が期待できるという。