乳がんは「光らせて」発見・治療する! 全く痛みなしに早期発見できる検査とは

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【ワールドビジネスサテライト 治る!最前線】(テレビ東京)2017年11月27日放送
乳がんは『光らせて』治療・発見する時代に!

   乳がんで命を落とさないためには早期発見が何より大切だが、涙が出るほど痛い検査がハードルを高くしていた。

   ところが最近、まったく痛みを感じないまま検査できる最新技術が実用化されている。キーワードは乳がんを「光らせて」見つけること。いったい、どんな技術なのだろうか。

  • 乳がんは早期発見が大切だが
    乳がんは早期発見が大切だが
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手術の最中にがんを「光らせ」、転移しているか確認

   東京都品川区にある昭和大学病院。50代女性の平田さん(仮名)が治療に訪れた。5か月前、検診で左胸にがんが見つかった。

   平田さん「風呂に入った時に胸を触ったら、しこりのようなものがあったので乳がん検診を受けて見つかりました。早く治って元気になりたい」

   担当医の昭和大学医学部乳腺外科の明石定子准教授が平田さんにMRIの画像を見せた。約3.2センチの乳がんが、乳房の中央部分に白く映っている。乳がんは母乳を作る小葉という組織や、母乳の通り道の乳管にできる悪性腫瘍だ。がんが進行すると血管やリンパ管に入り、最終的には全身に転移する。11人に1人の女性が生涯に乳がんを発症すると考えられており、患者数は約21万人。食生活の欧米化や高齢出産の増加で、患者数はこの20年で倍増した。

   番組では、明石准教授が執刀する平田さんの手術を密着取材した。手術の方針は、手術後も自然な外見を保つため、乳頭と乳輪を温存してがんを取り除く。しかし、がんが乳頭部分にまで広がっていた場合は、再発の恐れがあるため、がんの広がり具合を見極めることが、乳頭を温存できるかどうかで最も重要となる。約1時間で、がんが乳房の内側の組織ごと取り除かれた。

   さあ、ここから使うのが最先端の「がんを光らせる」薬品だ。昭和大学が東京大学と共同で臨床研究を進めている「蛍光プローブ」という薬剤だ。プローブは「探査」を意味する。手術チームの1人、昭和大学医学部乳腺外科の高丸智子講師がこう説明した。

   高丸講師「蛍光プローブは、がんと反応して光る液体のことで、がんがある場所を教えてくれます。乳がんの細胞では『GGT』という酵素が多く作られます。蛍光プローブは、このGGTと化学反応を起こし緑色に光ります。切除した乳房組織に蛍光プローブを振りかけると、がんのある部分が緑色に光りますから、ほかの場所が光らなければがんが広がっていないことが分かります」

   蛍光プローブを切除した乳房組織に振りかけ、待つこと5分。がんの部分ははっきり緑色に光っているが、乳頭の真下の組織などほかの部分は光っていない。これで、がんが広がっていないことが確認され、乳頭を残すことができた。手術は無事終了した。

   これまでは1ミリ以下のがんは顕微鏡で確認していたが、光らせることでより精度が高くなり、がんの取り残しを防げる。臨床研究をさらに重ね、数年以内の実用化を目指す。蛍光プローブを開発した東京大学の浦野泰照教授はこう語る。

   浦野教授「蛍光プローブを実用化すると、本当にがんが取り切れたかどうか、手術の現場ですぐにチェックすることができます。患者さんにとって大きなメリットになります」

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