英国の名手がゴールドドリームを、ダート王者へと導いた。中央競馬のダート王決定戦「第18回チャンピオンズカップ」(GI、ダート1800メートル)が2017年12月3日、中京競馬場11レースで行われ、ライアン・ムーア騎手が騎乗する8番人気のゴールドドリーム(牡4=平田厩舎、父ゴールドアリュール、母モンヴェール)が優勝した。
R・ムーア騎手は34歳。英国を拠点に世界中で活躍する、いま世界で最も注目される騎手のひとり。前日のステイヤーズ・ステークス(GII)でも優勝しており、2日で重賞を連勝。日本でのGI勝利は7度目となった。
直線一気! 次元が違う末脚
15時30分、ゲートがポンと開いて飛び出していったのが、コパノリッキー(9番人気)。そのペースは前半のハロン61秒6とゆったりした先行有利のペース。4コーナーを回り、最後の直線に入っても、2番手に付けていた1番人気のテイエムジンソクとの2頭が他馬を引き離し、逃げ込みを図る。
勝つのはどちらかと思われたところ、直線では大外から1頭だけ次元の違う末脚を披露したライアン・ムーア騎乗のゴールドドリームが、2頭をまとめて差し切った。
勝ちタイムは1分50秒1。首差の2着にテイエムジンソク、さらに首差の3着がコパノリッキーだった。
優勝したゴールドドリームはGIレース2勝目。17年2月のフェブラリーステークスも制しておりJRAで行われるダートGIタイトル完全制覇となった。通算戦績は13戦6勝。16年のこのレースで2番人気ながら12着と大敗。その後も海外遠征や地方競馬への参戦を含めGIレ-スを走り続けていたが成績が振るわなかった。この日も8番人気に甘んじていた。
テン乗りの名手、ゴールドドリームとも初コンビ
そんなゴールドドリームを導いたのが、世界一の騎乗技術とも称されるR・ムーア騎手だ。テン乗り(初めての騎乗)の名手ともいわれ、ゴールドドリームとも今回が初コンビだった。
じつは、ゴールドドリームが8番人気だったのにはワケがある。GIレースを勝つ実力がありながら成績が安定しなかったのは、彼がクセ馬だったからだ。
元騎手でケイバ解説者の安藤克己氏は2017年12月1日付の東京スポーツで、こう解説している。
「前走の南部杯(5着)は乗り難しさがモロに出たみたいで、(騎乗していた)川田騎手も『乗りにくい馬』って言うとったわ。そういう意味で今回はムーアへの乗り替わりに注目しとる」
川田将雅騎手にしても、17年の安田記念(GIレース)では、サトノアラジンを優勝に導いた実力のある騎手だ。そんな騎手でさえ手を焼いたゴールドドリームを勝利に導いた。さすが、ワールドクラスの名手、「世界のムーア」である。
この日の結果に、ネットではレース後、ツイッタートレンドで「ゴールドドリーム」があっという間に首位に。ゴールドドリームが人気薄だったこともあって、悲鳴ともとれる声が次々とあがった。
「ゴールドドリームだあぁぁぁぁぁぁぁぁ(怒)!(怒)!」
「なんでG1だけ勝てるんだ!!」
「ゴールドドリームとは予想外外外」
一方で、さすがムーア騎手だと称賛の声も出ていた。