中国「環境保護」という暴風 米系企業の「反抗」の受け止められ方

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外資でなければ、相手にもされず

   杓子定規な行政的法執行は、中国では実にありあふれたことだ。それは環境保護や化学工業界だけに限ったものではない。企業が生産能力の制限を課せられるのは、暖房使用期だけではない。「重要」な国際会議の開催や「重要」なスポーツ大会の開催、ひいては「重要」な祝日、またはスモッグが深刻な時には、企業が排出基準に達していようがいまいが、すべて一律に生産制限または生産停止が科せられる可能性がある。このような現状は中国人なら誰もが知っており、別に驚きもしない。今回、李寿生会長に手紙を出したのが、このように規模が決して小さくはない外資系企業ではなく中国国内の小企業であったならば、全く相手にもされず、『中国化工報』も報道しなかったことだろう。ただ、今回の件が、地方政府が杓子定規に環境保護法を執行すると、必ず無辜の者を傷つけることになることを思い起こさせたことは小さくはない。すべての企業の合法的な権益はみな保障されるべきで、また政府の行政権力は法律によって制御されるべきものであり、やりたい放題にはできない。これこそが法治国家の意味するところだ。

   しかし、キャボット社が手紙を出したことは、メディアによって報道されたが、その効果は如何なるものだったのか?その答えは、「とりたてて何の意味もなさない」ということだ。中国という国においては、習近平総書記がひとたび「青い山にきれいな水こそ、金山や銀山のようなもの」と発言するだけで、間違いなく中央政府は「環境保護の暴風」を巻き起こし、地方政府は必ず企業に対して生産制限及び排出削減を要求する。これは最高のポリティカル・コレクトネスである。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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