青天井なら「金持ち優遇」批判も
結局、認可外も対象に含めることにはなったが、次に問題になったのが、保育料のうちどの程度まで助成するかという線引き。認可保育園の助成については、政府・与党の検討過程で、当初は上限を設けることになっていたが、「公約違反」との批判を受け、認可保育園については、高所得世帯も含めて保育料の全額を無料化の方向になった。
難しいのが認可外の扱い。認可外の保育料は事業者が自由に決められるので、高額な場合も多く、助成が青天井なら「金持ち優遇」との批判を招きかねない一方、認可保育園に入れないためにやむなく、保育料が高くても認可外に子どもを預けている人こそが一番困っているともいえ、議論が紛糾した。
具体的には、当初は幼稚園に通う世帯との公平性の観点から、政府が定める幼稚園の公定価格と同じ月2万5700円を上限にする案をまず検討したが、認可保育園の保育料とのバランスをとるべきだという意見が強まった。結局、認可保育園の保育料の全国平均である月約3万5000円を上限とする案を軸に検討する方向だが、対象を含め、詳細な制度設計は、近く有識者会議を立ち上げて検討し、来18年夏までに結論を出すことになった。
今回の議論で、首相が約束した「すべて無償」と言えるかは疑問だ。3~5歳児については一応、認可外も含めて対象になったという意味では「すべて」だが、認可外の助成額には制限を設けるから「すべて」無料ではない。さらに、幼稚園で延長して子どもをみる「預かり保育」、あるいは認可外でも営利性が強いベビーホテルなども助成の対象にするかなどは未定で、今後の議論にゆだねられた。