「ペットは家族同然」と飼い主が可愛がるのはよいが、犬を連れて知人宅を訪問するのはいかがなものか。飼い主は「家族連れ」で訪れたつもりでも、訪問された側からは、不衛生な動物に土足で上がられたと受け取られかねない。
新築のわが家に、知人から「愛犬を連れて遊びに行くね」と言われ、どうやって断るか苦悩する投稿がインターネット上で話題になっている。
新築のわが家に友人が「愛犬を連れて遊びに行くね」
きっかけになったのは女性向けサイト「発言小町」の2017年11月22日付の次の投稿だ(要約抜粋、以下同様)
「新築したばかりの我が家に、友人から『愛犬を連れて遊びに行くからね』と言われました。我が家も犬を飼っていますが、逆の立場の場合、うちの犬が粗相したらと考えると、非常識で、とてもできません。友人に犬は遠慮してほしいことを、うまく伝えるにはどうしたらよいでしょう。玄関にはリードフックがあるので、『ワンちゃんには玄関で待ってもらうことになるけど大丈夫?』としか言えません」
これに対しては「絶対断るべきだ」という意見が大半を占めた。特に犬を飼っておらず、過去に「被害」を受けた人からこんな声が――。
「突然犬連れで来られ、玄関で断っているのにリードを放された経験があります。犬に泥だらけの足で居間に走り、そのまま皮のソファー(白色!)に座られたばかりか、私のハンドバッグをおもちゃ代わりに噛み噛みされました」
「うちに大型犬を連れてやって来ました。足を拭くでもなく、家の中で野放し。カーペットの上で思いっきり放尿しました。飼い主は『あーあー』と笑って見ているだけ。クリーニング代の申し出もありませんでした」
犬を飼っている人でも、「率直に断った方がいい」と言う人が多かった。
「犬友がワンコ連れで来た時は、いつも駐車場や庭で話しています」
「自分も犬を飼っているのになぜ相手の犬を拒否する!」
一方で、「自分の犬を『家族』と言っておきながら、相手の『家族』を家の中に入れないのはおかしい」という批判の声もあるから愛犬家は難しい。
「自分の犬は室内にいて、相手の犬は玄関に置いたままって、想像できない。犬を飼っていない家とは違うのですよ!」
友人に犬連れで訪問されたらどうしたらよいか、悩む人は多く、さまざまなウェブサイトで長年論議されているテーマだ。2011年9月11日付「ヤフー知恵袋」に「犬を連れてくる友人と上手に付き合いたいです」という次の相談があった。
「お友達で、よく犬を連れてくる人がいます。留守させるのが可哀想なのでしょう。私は不衛生と受け取る方なので、どう言えば角が立たずにすむか。建替えを検討していて、新築になったらもう受け入れられない気がします」
これに対する名回答はこうだった。
「この際旦那さんを犠牲にして、『今までワンちゃんをここに連れてきたこと、主人に内緒にしていたんだけど、家に帰って来て皮膚がやたらにかゆい、かゆいという回数が増えちゃってね。実は動物アレルギーだったんだって。ゴメンネ』とかどうでしょうか?」
J-CASTヘルスケアでは、チワックス(チワワとミニチュアダックスのミックス)を飼っている都内の30代女性Aさんに、知人宅に犬を連れて行くかどうか聞いた。
Aさん「犬を飼っていない兄夫婦の家によく連れて行き、泊まってきます。今度、独身時代の友人宅にも連れて行く予定です。うちの子を可愛がってくれていたので。兄夫婦宅に行く時、一番気にするのはトイレ。だからトイレシートを多めに持っていきます。あと、除菌スプレーや足拭き雑巾も必要ですが、兄夫婦の所で借りちゃいます。家族なので甘えて(笑)」
発言小町の投稿について聞くと――。
Aさん「先方から連れておいでよと言われてもいないのに、最初から連れて行くという態度は非常識です。そういう人に限って、相手先の犬に飼い主にも聞かずにおやつをあげちゃいそう」
「親しき仲にも礼儀あり。事前の承諾と訪問グッズを」
多くの愛犬家のサイトでは、犬連れで知人宅を訪問する際のマナーを呼びかけている。例えば、NPO法人・日本社会福祉愛犬協会のウェブサイト「ドッグライフアドバイス」の「犬のお友だちの家に、愛犬を連れて遊びに行きましょう」では、まず、「親しき仲にも礼儀あり。外でいつも会っているからと、不用意に訪問するのは考えもの」(要約抜粋、以下同様)と、まず相手の承諾を得たうえで、訪問グッズを用意することをアドバイスしている。そして、排泄などの粗相で迷惑をかけないグッズとして次の物を勧めている。
(1)ペットシート(トレイシート):排泄物を吸収する。
(2)マナーベルト:マーキング(尿によるニオイ付け)防止のためのオス犬用。ベルトにポケットがあり、そこにオチンチンを差し込んで腹巻のようにベルトで締める。
(3)足拭きタオル。
(4)犬をウロウロさせないための各種おもちゃ。
(5)抜け毛防止のための洋服。
(6)抜け毛防止や、犬を一定の場所にとどまらせるためのマット。
(7)神経質な犬の場合は、水飲みの器(器が違うと水を飲まない場合があるため)
けっこうな大支度になるが、それでも愛犬同士を交えた犬友との交流は楽しいひとときになるようだ。