殺虫剤、入浴剤などの国内大手であるアース製薬が、「殺虫剤」の名称をやめて「虫ケア用品」に変更した。「『虫ケア』とは虫をケアすること?」などと、ネットでは困惑する声が次々に上がっている。
一体、どういった事情があったのだろうか。メーカーに取材した。
「殺虫剤」という言葉の意味にそぐわない商品がある
アース製薬といえば、有名な「殺虫剤」が「アースジェット」か「ゴキジェットプロ」。前者はハエや蚊を殺すときに使い、後者はゴキブリだ。
しかし、同社の広報室担当者によると、「殺虫剤」と分類される商品のうち約28%が、文字通りの「殺虫剤」とは異なるものだという。
「『殺虫剤』と一口に言っても、実際は虫を殺さない商品もあって、商品特性と言葉の意味にズレがあるものもありました」
たとえば、ごきぶり退治に用いる「ごきぶりホイホイ」は殺虫成分を含んでいないうえ、虫を捕まえておくだけ。また、虫よけの商品も「殺虫剤」に分類されているものの、「虫を寄せ付けない」ことが主眼になっており、「殺虫」という意味にはそぐわない。
さらに担当者は、
「一部には、『殺虫剤』という名前にネガティブなイメージを抱いて、使用にためらいを持たれるお客様もいます。ただそれで使用しない場合、蚊などが媒介する感染症などのリスクが増大しかねません」
とも語った。
「虫をケアしてるみたい」
そこで、名称変更となり、「虫から人の健康を守る」という意味で、「虫ケア用品」になったという。
アース製薬が「虫ケア用品」という言葉を用い始めたのは10月27日から。同業他社へも使用を呼びかけており、2020年までに売り場表示の変更を完了させたい考えだ。
公式サイトの商品案内ページなどではすでに「虫ケア用品」という言葉が登場しているが、化学工業日報が11月27日に「殺虫剤」の名称変更を報じたところ、ネット上で一気に反響が広まった。
「殺虫剤は虫ケアだし 時代やな」と理解を示す向きもありながら、
「虫をケアしてるみたい」
「『虫ケア用品』って効かなそう感」
「殺虫剤を『虫ケア製品』にするのなら『ヘアケア製品』はハゲを作る薬になりますがよろしいか」
など、茶化したり、否定的だったりする声も少なくない。
これに対し、アース製薬の同担当者は、「様々なご意見があることは承知していますが、『虫の害からケアする』という意味での『虫ケア用品』という言葉を普及させていければと思います」と述べている。