エレベーターの「ペットボタン」をご存じだろうか。これは、「かご」の中にある操作盤に設置されたボタンのことで、押すとペットと同乗していることが乗り場のパネルに表示される仕組みとなっている。
だが、このボタンの存在は、決して広く知られているワケではないようだ。実際、J-CASTニュースが話を聞いたある業界関係者も、「エレベーター業界に勤めて20年以上になりますが、実は1回も見かけたことがありません」と打ち明ける。
いったい、ペットボタンは何の目的で設置されているのか。そして、普及率はどれ程のものなのか。J-CASTニュースが、大手メーカーに聞くと...。
ペットのトラブル防止のため
「今日のったエレベーターにペットボタンがあった。なんなんこれ」
「今時のエレベーターはペットボタンがあるのか」
「なんだペットボタンて!初めて見たわ!」
ツイッターやネット掲示板などには、上記のようなペットボタンの「目撃報告」がたびたび寄せられる。その度に、ボタンの用途や設置数などの話題が交わされる。こうした報告によれば、一部のペット可のマンションや商業施設などに設置されているようだ。
最近では2017年11月27日、ネット掲示板「2ちゃんねる」上に、「高層マンションの『ペット』ボタンの意味が分からない奴は貧乏人決定」というスレッドが立ち、複数のまとめサイトで記事化されるなど話題を集めた。
このボタンは、複数の大手メーカーがエレベーターの新規導入時に「オプション」として用意しているサービス機能。主な目的は他の利用者にペットが乗っていることを伝えることだが、一部には扉が開いている時間を伸ばしたり、開閉速度を遅くしたりする機種もある。
ペットボタン機能を用意している三菱電機(東京都千代田区)広報部の担当者は、28日のJ-CASTニュースの取材に、
「飼い主がボタンを押すことで、乗り場のパネルにペットが乗っている旨が表示されます。これにより、動物が苦手な方がそのかごに乗ることを避けたり、同じかごに複数のペットが乗ってしまうことによるトラブルを防いだりできます」
と機能について説明する。
「認知度アンケート」の結果は...
ただ、決してその認知度は高くないようだ。上述したように、エレベーター業界関係者でさえ「見かけたことがありません」と話すほど。実際、J-CASTニュースが28日、ツイッター上で簡易アンケートを取ったところ、結果は次の通りだった(149票)。
ペットボタンを見たことがある ... 11%
ペットボタンを見たことがない ... 17%
そもそも何のことか分からない ... 72%
はたして、その普及率はどれほどなのか。J-CASTニュースは、ボタンを導入している大手メーカー3社に聞いた。東芝エレベータ(神奈川県川崎市)広報室の担当者は、
「全く出ないわけではありません。建物の用途や開発業者の意向によって、ペットボタンを導入するケースはしばしばあります」
と話す。日立ビルシステム(東京都千代田区)広報部は、「直近の受注をみると、ごく一般的なマンションの場合は1割弱が導入しています」としていた。
また、三菱電機広報部の担当者によれば、同社のエレベーターの新規導入者がペットボタンを設置する割合は5%。「ペット可の物件が一般的になっていることもあり、よくご導入を頂いております」と話していた。
メーカー3社の話などをまとめると、現状の認知度は決して高いとは言えないペットボタンだが、今後旧式のエレベーターの切り替えが進むにつれ、より一般的になる可能性も十分あると言えそうだ。