「嗅覚」の衰え甘く見ちゃダメ うつ状態引き起こし、命にかかわる危険も

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【ガッテン!】(NHK総合)2017年11月22日放送
「あなたは大丈夫?"鼻の力"最新報告」

   においの感覚「嗅(きゅう)覚」は、五感の中で最も謎に包まれていて、今も様々な研究が行われている。

   食欲がない、やる気が出ない、外出がおっくう...など、老化による精神の不調が、実は嗅覚の低下が原因かもしれない。最近の研究で、嗅覚と健康に関連があるとわかってきた。

カレーやミントのにおいがわからなかったら要注意

   鼻の奥には「嗅神経細胞」というにおいセンサーがあり、様々なにおい物質をキャッチするが、20代をピークに徐々に減少する。歳とともににおいの情報を脳へ送る信号も弱くなり、嗅覚が衰える。

   嗅覚が衰えると、「食欲がない」「外出が面倒」「元気が出ない」「人付き合いが嫌だ」「筋肉量が減る」「虚弱体質になる」「地域活動への参加が減る」...などなど、様々な心身の不調があらわれる。

   一体なぜか。兵庫医科大学耳鼻咽喉科の都築建三准教授によると、においがわからないと味がわからずご飯がおいしくなくなり、食欲が低下。食べないから筋力も衰え、様々な悪影響につながるという。

   朝や夜などの時間帯、天候によって異なるにおいも感じづらくなり、時間や空間を認識する能力も低下する。やる気がなくなると、うつ状態に陥るおそれもある。

   また、調理中にこげのにおいに気付かない、食べ物が腐敗していてもわからないなどで、命の危険につながるケースも考えられる。

   しかし嗅覚の低下は気付きにくい。視覚から得た情報で脳が錯覚し、においを感じた気になってしまうのだ。

   自分の嗅覚に不安を感じている人は、家でカレーか、生のミントの葉をかいでみて。においがわからなかった場合は耳鼻咽喉科に相談を。

「これはリンゴだ」と思いながらリンゴをかぐべし

   一度減った「嗅神経細胞」は、治療で取り戻せる。

   高知大学の耳鼻咽喉科では、嗅覚が衰えた患者に、「オレンジ」「カスタード」など、違うにおいが入った数種類のビンをかがせる治療を行っている。ドイツで開発された最新の治療法で、日本では研究段階のため、保険適用ではない。

   しっかりにおいをかぐとにおい物質がたくさん鼻に入り、嗅神経細胞に刺激を与え、細胞の数が増える。何のにおいか意識してかぐと、脳内回路のネットワークも強まる。

   これは日常生活でも簡単に行える。食べ物や花など、身の回りのものを意識してかげばよい。

   例えば「これはリンゴだな」と思いながらリンゴをかいだり、「コーヒーのいい香りだ」と思いながらコーヒーをかいだりする。普段からにおいをかぐ意識を高めておけば、嗅覚の衰えの予防、改善につながる。

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