女性アナウンサーが韓国の事情を語りかける
具体的な放送内容が詳細に報じられることは少ないが、主に東アジア地区のテレビやラジオを研究している「アジア放送研究会」が、16年5月18日の放送を全部録音して分析している。それによると、1日に放送される番組は全部で4時間20分。5~6回程度再放送され、全体で20時間が放送される。番組は大きく「報道番組」「韓国紹介番組」「北朝鮮の体制暴露番組」の3種類がある。メディアが注目するのは「報道番組」だが、それ以外もバラエティーに富んでいる。
「今夜をミンジとともに」と題した番組では、「ミンジ」と名乗る女性アナウンサーが、韓国の恋愛事情をおりまぜながら「深い夜、甘い夜、皆さんとの幸福を夢見るミンジです」などと優しく語りかける。「労働新聞読み直し」は、労働新聞の内容を読み直した上で、その背景を伝える。「新しい生活を探した人達」では、週替わりで脱北者を招いて対談形式で近況を伝える...といった具合だ。
こういった番組は確実に北朝鮮兵の耳に届いているようだ。ハンギョレ新聞などによると、6月13日に板門店よりも東方にある中部戦線の非武装地帯から亡命した北朝鮮兵は
「対北朝鮮拡声器放送を聴いて韓国の発展ぶりを知り、亡命の決心に影響があった」
などと話したという。今回板門店で亡命した北朝鮮兵も、入院中の病院で
「韓国のガールズグループの音楽が好き」
などと話したと報じられており、「自由の声」でK-POPを知ったとみられる。
YTNニュースは、今回の亡命劇が「自由の声」で放送されることで、
「最前線に駐留する北朝鮮軍の心理に少なからぬ影響を与えると予想される」
と指摘している。