北朝鮮の兵士が2017年11月13日午後、南北軍事境界線上にある板門店経由で亡命したことを受け、韓国側が情報戦で攻勢を強めている。軍事境界線がある非武装地帯に設置されたスピーカーから行う放送で、亡命兵の様子を詳しく紹介し、栄養状態が劣悪だったことにも触れている。
実はこの「拡声器放送」の番組内容はかなりバラエティーに富んでおり、過去に亡命した北朝鮮兵の中には、拡声器放送が亡命を決心する後押しになったと話した人もいる。今回の亡命劇が北朝鮮側に伝わることで、北朝鮮兵の士気はさらに下がりそうだ。
軍事境界線の10~20キロ先に届く
拡声器による放送は1960年代から断続的に行われ、最近では2015年8月に中止することで南北が合意。しかし、16年1月に北朝鮮が4回目の核実験を強行したことを受け、改めて再開されていた。現在行われている拡声器放送は韓国国防省による「自由の声」放送で、拡声器からの音声は軍事境界線の10~20キロ先に届くという。拡声器と同内容がFMでも放送されている。
東亜日報や通信社の「ニュース1」などが2017年11月26日に伝えたところによると、「自由の声」は亡命事件発生から連日のように事件を取り上げている。事件の経緯はもちろん、亡命兵士の栄養状態が悪いことや、事件の際に亡命兵士を追いかけた北朝鮮兵が軍事境界線を越え、停戦協定に違反したことにも触れている。