建設機械メーカー・小松製作所(以下、コマツ。東京都港区)元社長の安崎暁(あんざき・さとる)氏が自分が元気なうちに「感謝の会」を開きたいとして、新聞広告に案内を掲載した。
案内文には「手術は不可能との診断を受けました」と、病気の告白があった。
「私がまだ元気なうちに皆様方に感謝の気持ちをお伝えしたく」
日本経済新聞2017年11月20日朝刊を裏から1枚めくった35面、広告が掲載されているページ下部の、紙幣1枚ほどのスペースに「感謝の会開催のご案内」はある。縦書きで記されており、「秋冷の候 皆様ご清祥のこととお慶び申し上げます」というあいさつから、こう続く。
「私こと安崎暁は10月上旬、体調不良となり入院検査の結果全く予期せざることに胆嚢ガンが見つかり、しかも胆道・肝臓・肺にも転移していて手術は不能との診断を受けました。
私は残された時間をQuality of Life優先にしたく、多少の延命効果はあるでしょうが、副作用にみまわれる可能性のある放射線や抗ガン剤による治療は受けないことにいたしました」
安崎氏は1937年3月3日生まれ。案内文では自身のコマツでの経歴を紹介している。1961年に入社し、85年に取締役に就任すると、95年に社長、その後会長を歴任。2005年に取締役を退任した。安崎氏はこう感謝をつづっている。
「その間40余年、皆様方には公私ともに大変お世話になり、誠に有難うございました。また、引退後も余生を共に楽しく過ごさせて下さいました多くの方々にも大変感謝いたしております」
そうして「感謝の会」について呼びかけた。
「私がまだ元気なうちに皆様方に感謝の気持ちをお伝えしたく左記の通り感謝の会を開催することにいたしました。ご都合のつく方々にご参加いただきお会いできましたら私の最大の喜びでございます」
「平服またはカジュアルでおいでください」
「感謝の会」は12月11日に、コマツ本社からほど近い東京・赤坂のホテルで催される。また「会費お志等のお気遣いは無用です。平服またはカジュアルでおいでください」と記載がある。
安崎氏の案内文を目にしたツイッターユーザーからは、続々と声があがった。
「偉大な方ですね。この機会に知ることが出来て良かったです」
「自分の病状を告白できる勇気がすごい。それを支える家族もすごい」
「悲しい内容のはずがなにか力を与えられるような話ですね」
「この安崎さんの、残された日々が光り輝くような毎日である様にと祈りたくなります」
「何だ、この淵の見えない大きな器は・・・『自己余命宣告で死を受け止め、それでも他人に謝意を表する』 マネできないわ」
安崎氏は1998年、会社経営などを通じて産業振興・社会福祉増進に優れた業績をあげた人物に授与される「藍綬褒章」を受章。2012年には、経済社会の発展への寄与が極めて大きい企業最高責任者などに授与される勲章「旭日重光章」を受章。多大な功績を打ち立ててきた。
J-CASTニュースは、安崎氏が発足し会長を務める「安崎暁グローバル企業発展研究会」の窓口から取材を申し込んだ。22日、担当者を通じて安崎氏から「新聞広告以上のことを今申し上げるつもりはありません。12月11日の会のため体調を整えているところです」という回答を頂いた。