横綱・日馬富士が正式に引退表明したことで、今度は暴行現場に同席していた白鵬と鶴竜の両横綱の処遇に注目が移った。とりわけ実績で上回る白鵬には厳しい目が向けられている。
大相撲の識者らも、「暴力行為が行われているところで放っとくというのは、ある意味『加勢』している」などとして責任論に言及している。
「止めたと言われていますが、どんな止め方だったか」
日馬富士は平幕・貴ノ岩への暴行の責任を取る形で2017年11月29日朝、日本相撲協会に引退届を提出し、受理された。同日午後には引退表明会見も開いた。
だが真相解明には至っていない。暴行現場には複数の力士が同席していた。白鵬は16日朝、稽古場前で報道陣に「自分がすぐに止めに入った」と話したが、各種報道によると殴打は20~30発とも40~50発とも言われるほどに及んだとされる。横綱在位期間が日馬富士より長く、実績も上回る白鵬をめぐっては責任を問う声があり、日馬富士が引退という決断を下したことで一層注目されている。
協会元理事で元危機管理委員長の宗像紀夫弁護士は30日放送の「スッキリ」(日本テレビ系)で、
「止めたか止めないかはすごく大事。暴力行為が行われているところで放っとくというのは、ある意味『加勢』している意味合いもあります。止めたと言われていますが、どんな止め方だったか、どの段階で止めたか。他の2人の横綱(白鵬と鶴竜)の責任があるかないかの調査は必要ではないでしょうか」
と責任論に言及した。
東京相撲記者クラブ会友の大見信昭氏も29日放送の「バイキング」(フジテレビ系)で、貴乃花一門のある親方から聞いたという話を伝えている。
「現場にいた横綱2人(白鵬と鶴竜)は、(貴ノ岩が)ボコボコにされるのを見ていたわけですね。これはある種の『集団暴行』だ。だったら貴ノ岩と日馬富士だけの問題で事件を決着させるのではなく、白鵬も鶴竜もそれなりの責任があるはずだからそこを問いたいと、そう協会に対峙していると聞きました」