「具体的な質問にはお答えできない」「調査結果を待ちたい」
三菱マテリアルは記者会見の前日の11月23日、子会社の三菱電線工業と三菱伸銅が自動車や航空機向けなどに出荷した素材製品の検査データを書き換えていた、とネットで一方的に発表した。出荷先は三菱電線が航空・宇宙、産業機器、自動車など229社、三菱伸銅が自動車や電子機器向けなど29社。いずれも「現時点で法令違反や安全性に疑義が生じる事案は確認されていない」という。このほか、同じく子会社の三菱アルミニウムも「不適合品の出荷があったが、すべての納入先との間で安全性の確認は終了している」と発表し、24日の会見で出荷先が16社だったことを明らかにした。
三菱マテリアルは、三菱電線と三菱伸銅の出荷先258社について「安全確認を迅速に進める必要があると判断した」というが、リリースも記者会見も情報開示は極めて限定的。24日の会見では「不正の原因は何か。いつから続いていたのか」などの質問が相次いだが、竹内社長は社外の弁護士らの調査委員会を設け、第三者的な立場で調査を行っていると主張。これを盾に取り、「具体的な質問にはお答えできない」「調査結果を待ちたい」などと繰り返すばかりだった。
神戸製鋼の記者会見も、記者の質問と社長や副社長の答弁がかみ合わない場面は多々あったが、社長や副社長が説明責任を果たそうと努力する姿勢が感じられた。ところが三菱マテリアルの会見では、社長らの肝心な肉声は聞こえずじまいだった。会見終了後、記者席からは「三菱マテリアルは神戸製鋼以上に悪質で、ひどい」など落胆の声も漏れていた。