HIVからほかの血液関連疾患まで
研究結果だけを見ればサルの骨髄移植が成功した話に過ぎないが、移植手術後に一切の拒絶反応も起きず、合併症なども起こしていないというのは大きな進歩だ。人の骨髄移植ですらしばしば移植後にさまざまな問題が生じて苦しむ例がある。
ブラウンさんの体内で何が起きたのか検証できるだけでなく、移植手術にまつわるさまざまな問題を検証することも可能になったのだ。
サッシャ博士は11月10日付の米「Newsweek」の取材に対し、
「白血病はもちろん、鎌状赤血球症などの他の血液関連疾患の患者の移植にまつわる現象も動物実験で確認することができる。10年後には免疫抑制剤などを使わなくても移植後に起きる副反応をなくすことが可能になるだろう」
とコメント。HIV研究にも大いに寄与できると話しており、すでに企業や他の研究者たちから関心が寄せられ、協力を依頼されていることも明かしている。