北朝鮮が新型弾道ミサイル「火星15」型の発射成功を発表した2017年11月29日の声明では、米国本土全域が攻撃可能だと主張し、朝鮮労働党の金正恩委員長が「国の核武力完成」を宣言した。
これまでに北朝鮮が発射したミサイルでは最も高い高度を記録したことからすれば、飛距離という点では北朝鮮の主張は正しい可能性もある。ただし、核弾頭を積んで攻撃する能力については懐疑的な声もあり、本当に「核武力完成」するまでには時間がかかる可能性もある。
「通常軌道で発射されたとしたら、ミサイルの射程は1万3000キロ以上」
国営朝鮮中央テレビで読み上げられた声明によると、発射を見守った正恩氏は、
「今日初めて国の核武力完成の歴史的大業、ロケット大国偉業が実現されたと誇りの高さを宣言した」
という。発表によると、「火星15」は4475キロまで上昇し950キロ飛行したといい、17年7月に発射したICBM「火星14」よりも高度は大幅に伸びている。そのため、米国の政策研究機関「憂慮する科学者同盟」の世界安全保障プログラム共同ディレクターのデービッド・ライト氏はブログで、
「これら(飛距離と高度)が正しく、もしロフテッド軌道ではなく通常軌道で発射されたとしたら、ミサイルの射程は1万3000キロ以上だろう」
として、
「ワシントンDCや、実際に米国全土に届くのに十分だ」
と分析。ただし、弾頭を積めるかについては
「ミサイルがどの程度の重さを積めるかは分からないが、飛距離が長くなっていることからすれば、非常に軽い模擬弾頭を積んだのだろう。もしそうであれば、より重い核弾頭を長距離にわたって運ぶのは不可能だろう」
などとして懐疑的だ。