皮膚疾患のひとつ「乾癬」が2型糖尿病リスクと関係しており、感染が重症であるほど2型糖尿病リスクも上昇するという研究結果が、2017年11月8日に米ペンシルバニア大学の研究者らによって発表された。
以前から乾癬患者の2型糖尿病発症率が非患者より高い傾向にあることが指摘され、両者の間に何らかの関係があるのではないかと疑われていたが、今回の研究でそれが明らかになった。
体表に占める乾癬の割合が増すと...
乾癬は症状によって数種類に分類されるが、日本皮膚科学会のサイトでは乾癬患者の約90%が、皮膚が白く粉をふいて全身に紅斑が表れる「尋常性乾癬」であるとされている。
欧米では一般的な皮膚疾患とされ、米国皮膚科学会によると全米で約750万人の患者がいるという。
今回研究にあたったペンシルバニア大学のジョエル・ゲルファント皮膚科学教授が率いる研究チームは過去に行った調査で、乾癬患者に診られる炎症が糖尿病の原因となる血糖値が下がりにくい状態、「インスリン抵抗性」を引き起こしていることを確認。
さらに、2016年にはデンマーク・コペンハーゲン大学によって乾癬と2型糖尿病には共通する遺伝的変異が見られるとする研究結果が発表されており、両者には密接な関係があると考えられていた。
そこでゲルファント教授らは、2013年から英国の開業医らから提供された医療記録を元に乾癬患者8124人と非患者7万6559人を追跡調査し、糖尿病の発症状況を比較した。
感染患者のデータには、体の表面積に占める乾癬の割合を示す重症度の指数「Body Surface Area(BSA)」が含まれており、これを参考に感染の重症度と糖尿病リスクの関係も分析している。
糖尿病発症リスクに影響を与えると思われる年齢や性別、BMIを調整したところ、BSAが2%以下の乾癬患者は非患者よりも糖尿病発症リスクが21%高く、BSAが10%以上の患者ではリスクが64%も高くなっていることがわかった。
この数値を元に重症度と糖尿病発症リスクの関係を解析すると、BSAが10%以上の乾癬患者のBSAが10%上昇するごとにリスクは約20%増加している計算になるという。