日本人の職を奪うのか 外国人「技能実習」に新局面

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どのように、どこまで受け入れるか

   日経も、経済界の「本音」を代弁する形で、基本的に同様の立場。「技能実習は根本から見直しを」(17年11月2日)で「介護、看護や農業、物流など、人手が不足している分野について、外国人を受け入れる仕組みを根本からつくり直すときに来ている」として、具体的に「国内で募集しても充足できない職種について、一定以上の職務能力を持った外国人を受け入れるやり方が考えられる。日本人の雇用への影響を分析し、職種ごとに毎年の受け入れ人数に上限を設けるといった工夫も要るだろう」と提案している。

   読売は「技能実習法施行 監督強化で制度の適正化を」(17年11月5日)で、「労働力人口が減少する中、農業など各分野で外国人の活用は大きな課題である。中長期的視野で適正な受け入れ体制を考えたい」とするが、全体に今回の改正を評価する論評が目立つが、14年4月21日には「政府は女性や高齢者の就労促進を打ち出している。それでも不足する分野の労働力として外国人を活用する方策を考えるべきだ」(「外国人労働者 活用策を幅広く議論する時だ」)と書いている。

   これらに対して、独自の姿勢なのが産経だ。かねて、国内保守派の移民への反対論、慎重論を代弁し、「(移民の)大量受け入れには、治安悪化や日本人の賃金水準の低下など課題が多い。国策の大転換を国民的な議論もなしに決めたのでは、将来に禍根を残す。一足飛びに移民論と結びつけるような、現在の議論の進め方は厳に慎むべきだ」(14年4月5日)などと主張してきた。それだけに、今回の改正にも「介護現場に外国人 待遇改善と矛盾しないか」(16年10月26日)で、「技能実習生を『安価な労働力』と捉えているならば誤りだ。同一労働同一賃金の原則にも反する。外国人が増えることで、むしろ全体の賃金が低く抑えられることを懸念する」「目先の労働力確保という視点だけで、なし崩しに対象職種を拡大することは許されまい」など、強い調子で慎重論を展開している。

   こうしたスタンスの違いの上で、今回の制度改正の具体的な中身については、「心配なのは企業の監視が十分にできるかどうかだ」(日経17年11月2日)、「外国人技能実習機構......の人員も限られる。どこまで監視ができるか分からない」(東京11月10日)など、監視の実効性への疑問を指摘する書きぶりが目立つ。介護への拡大についても、コミュニケーションが求められるだけに、日本語力の不足などからサービスの質が低下するのではという懸念、そして「技能実習の利用は、低賃金の固定化や労働環境の悪化を招く恐れがある。日本人の離職を助長しては本末転倒である。日本人職員の処遇改善こそ優先すべきだろう」(読売16年11月4日「外国人介護職 技能実習制度の利用は慎重に」)といった主張で各紙、概ね一致する。

   今回の制度改正は、外国人労働力をどのように、どこまで受け入れるかの議論を加速する出発点になりそうだ。

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