国賓を迎えて天皇、皇后両陛下が開催する宮中晩さん会について、自民党の竹下亘総務会長が国賓のパートナーが同性だった場合は出席に「反対」だと述べ、野党のみならず与党内部からも批判の声が上がっている。
自民党は17年10月の衆院選で性的少数者(LGBT)理解促進を目指す関連法の制定を目指すことを掲げており、党の政策との整合性も問われそうだ。批判を受け、竹下氏は「反省している」と述べている。
宮中晩さん会での対応めぐり発言
発言は2017年11月23日、岐阜市内で開かれた自民党のパーティーで出た。竹下氏は、フランスのオランド大統領(当時)が2013年、当時事実婚の関係にあったバレリー・トリルベレールさんをともなって国賓として来日した際、宮中晩さん会でどう対応するかに宮内庁が苦慮したことを指摘。その上で、各紙の報道を総合すると
「問題はここからだ。もし、(国賓の)パートナーが同性だった場合はどう対応するのか。これは必ず近い将来、突きつけられる課題ではないか。私は反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」
などと述べた。
この発言を、立憲民主党の辻元清美国対委員長は11月24日、記者団を前に「恥ずかしい差別発言」だと発言を非難。
発言があったパーティーに出席していた野田聖子総務相は同日午前の記者会見で、
「自由民主党というのは開かれた、また、多様な意見をぶつけ合うことができる政党」
だとして、
「竹下総務会長は、そういうお考えを持っているというご披露だったと思う」
と発言の意図を推測。その上で、
「ただ、私個人的には、多様性を重んじている人間としては、どんな人でも伸びやかに生きられる日本でありたい。そのために何をするべきかというのは、常に模索しているところ」
と述べ、違和感をにじませた。
二階幹事長「慎重に対応」
二階俊博幹事長は
「海外との関係があり、慎重に対応するということで、今のところ、特別の考えはない」
と静観の構えだ。菅義偉官房長官は、発言そのものについては
「政治家個人としての見解を述べたものであって、政府の立場でコメントすることは控えたい」
としながらも、実際に国賓が同性パートナーを連れて来日した際の対応については
「然る対応をすることになるだろう」
と述べた。
「言わなければよかった」と反省の弁
なお、自民党が17年の衆院選で掲げた公約集の中で各論を説明した「自民党政策BANK」では、
「性的指向、性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指すとともに、各省庁が連携して取り組むべき施策を推進し、多様性を受け入れていく社会の実現を図ります」
と説明されている。発言と党の政策との整合性についても問題になりそうだ。
当の竹下氏は11月24日、記者団に対して、自身も同性のパートナーを持つ人と
「普通にお付き合いしている」
としながら、
「皇室に関係する場合に日本人のメンタリティーとしてどうかという思いがあった」
と釈明。
「言わなければよかったと思っており、反省している」
などと反省の弁を述べている。