熊本市義の緒方夕佳氏(42)が議会に乳児を連れて入った行動をめぐり、賛否が分かれている。
育休宣言をするなど育児への関心が高いタレント・つるの剛士さんは「こういう問題提起の仕方は本当に悩んでいる働くママ達や子供が結局一番可哀想な思いをしてしまうんじゃないか」と苦言。一方、育児サービスを手がける認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹・代表理事は「抑圧するのではなく、耳を傾けてはどうでしょうか」と一定の理解を示した。その緒方氏本人は、ラジオ番組の中で行動の真意を明かしていた。
「『保育園おちた日本○ね』の時もそうでしたが」
緒方氏は2017年11月22日の熊本市議会で、生後7か月の長男を連れて本会議場に着席。報道によると、議会は長男を、議場への立ち入りが許されない「傍聴人」とみなし、退席させるよう緒方氏を注意した。最終的に知人に長男を預けて議会に出席したが、開会は約40分遅れた。
緒方氏は、この日の議会に長男を連れて出席する旨の連絡を事前にしていなかったと報じられている。一方、妊娠中から乳児連れの出席などについて議会事務局に相談していたが、前向きな回答は得られなかったという。
女性の育児と仕事の両立という点も含めて大きな注目を集めたこの騒動。つるの剛士さんは23日、ツイッターで「『保育園おちた日本○ね』の時もそうでしたが」として、緒方氏の行動に疑問を示した。
「働く女性や育児、待機児童問題。。などを正義の盾にして正論の剣を振りかざす社会にボクは発展はないと思うし、こういう問題提起の仕方は本当に悩んでいる働くママ達や子供が結局一番可哀想な思いをしてしまうんじゃないかなあ、と思いました」
つるのさんの投稿には「これが本当の子供思ってる方の意見。子供を議会に連れてくることが悪いのではなく、子供を政治利用に使った事が問題」「多くの働くママ達は、職場に子供を連れてなどいけません。そんなことをしても、待機児童問題の根本的な解決にはならないと思いました」など同調する意見が少なくない。
緒方氏「『個人的な問題』という風に扱われることにすごく疑問が」
一方、駒崎弘樹氏は24日の「Yahoo!ニュース 個人」で、つるのさんの意見に「賛同できません」と反論。特に、緒方氏が妊娠中から議会事務局に相談していたことに触れ、
「通常のルートで訴えをしていて、それが叶わなかったのです」
「『訴え方がおかしい』と言われても、『じゃあどうやって訴えるの?』と言わざるを得ません」
などとの見解を示した。また、「1人の女性市議の勇気ある訴えに対し、『ルールを守れ』『パフォーマンスやめろ』『赤ちゃんが可哀想』と抑圧するのではなく、耳を傾けてはどうでしょうか」と呼びかけもしている。
駒崎氏の同記事には、脳科学者の茂木健一郎氏が「今回の議員さんの行動は、一つの問題提起として十分に理解できる」と反応するなど賛同が集まっている。
その緒方氏は、22日夜放送の「荻上チキ・Session-22」(TBSラジオ)で電話取材を受け、行動の経緯を明かしていた。妊娠中、議会事務局に具体的に相談したのは、まず「議場に連れて行きたい」ということ。これは「難しい」と言われ、ならば「市議会に託児所を作れないか」と持ちかけたが、
「『議員さん個人でベビーシッターを雇って対応してください』というような、すごく個人的なことというようなメッセージを私は受けました」
としている。
こうした対応に緒方氏は、「どうしても前に進まない、取り合ってももらえないような状況でした。『個人的な問題』という風に扱われることにすごく疑問がありました」との思いを明かした。その上で
「助け合わないとできないものだと思うのですが、私たち子育て世代が変えようと声をあげているのに、その声は聞いてもらえない状況で、悲鳴のような感じです。私の今日(22日)の議場での姿はそういう声を表したいと思いました」
と真意を明かしていた。