高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
官僚の裁量、もっと国会が「縛り」を 「森友」検査院報告にみる「やっぱり」

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文書の保存がないのは酷い

   野党は、これでもまだ首相や首相夫人の「関与」というのだろうか。実は、筆者が財務省の事務チョンボを指摘したのは9か月ほど前であるが、その時やそれ以降はマスコミや野党はもっぱら首相や首相夫人の「関与」と言い続けていた。そのため、財務省の問題がスルーされていた。そうしているうちに、5か月前に、近畿財務局は値引き売却価格で買い戻した。これは、森友学園の小学校設置認可申請の取り下げに伴うものだが、結果として値引き売却による国民の損失はなくなった。不当な値引きで安い売却でもあっても、安い同価格で買い戻したからだ。

   もちろん、これで近畿財務局の事務チョンボが許されるわけではないが、国民には実損を与えていないと、近畿財務局は言い張るだろう。

   しかし、文書の保存がないのは酷い。公文書管理は政省令に委ねられ官僚の裁量が大きいところだ。もっと国会で縛りをかけるべき分野であるので、国会はそうしたところでしっかり仕事をしてもらいたい。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「ついにあなたの賃金上昇が始まる!」(悟空出版)など。


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