コムギが守っていた7匹の子猫のDNA鑑定をすると...
相島の猫を研究し、多くの論文を発表している西南学院大学准教授の山根明弘氏は、島にいる約100匹の猫全てを個体識別している。山根明弘さんは「メルの子どもたちの父親はコムギなのではないか」という仮説をたてた。、コムギの唾液とメルやヨゴミの子猫たちの唾液を、綿棒を口の中に入れて採取した。そして、DNAを使った親子鑑定を行った。その結果は驚くべきものだった。メルとヨゴミの子供7匹のうち、最大で6匹、少なくとも4匹は確実にコムギが父親だと判明した。
山根准教授「猫の社会でオスが子供の世話をするというのは、世界で初めての発見です。ネコ科の動物は、ライオン以外、普通オスは子育てをしません。チーターもヒョウも母親だけが子どもを守ります」
これまでは猫のオスも子育てには一切かかわらないと考えられてきた。自由に生きる野良猫は観察が大変だ。特に出産直後の母親は、神経質で近寄るのが難しい。今回、多くの無人カメラを仕かけ、大発見につながった。それでは、なぜコムギは自分の子どもを守る行動をしているのだろうか。山根准教授はこう推測する。