コムギは障害を持つメス猫に恋をしたが...
コムギは旅先で一匹のメス「メル」と出会った。メルは足が不自由で、片目が見えない。それでも何匹もの子どもを育て上げ、相島の人々からは「母猫の鏡だね」と一目を置かれる名物猫だ。これがコムギの初恋だった。メルも尾を高く上げ、コムギに体を摺り寄せた。「いい感じ」の2匹。しかし、ボス猫に邪魔され、コムギは追い払われた。
それから数か月後の後編、取材班に予想外の展開が。コムギが突然荒々しく豹変し、他のオスを攻撃し始めた。オス猫同士のケンカは「鳴き合い」から始まる。互いに睨み合って鳴き声を上げ、目をそらした方が負けだ。それまで目をそらしてばかりいたコムギが、自分より大きなオスに挑戦し、気合で圧倒する。コムギはある物置に執着し始め、物置に近づく他のオスたちを猛然と追いかける。呆れて、他のオスたちは近づかなくなった。
ある日、コムギは物置に入っていった。取材班が中を探ると、段ボール箱の中に生後1週間ほどの4匹の赤ちゃんがいた。コムギは段ボール箱に首を突っ込んだ。「まさかコムギ、お前も子殺しをするのか!」。取材班に緊張が走った。しかし、何事も起こらず、コムギは去った。そこにメルが戻ってきた。4匹の赤ちゃんはメルの子どもだった。さらに物置に「ヨゴミ」というメス猫が入ってきた。床のカゴにはヨゴミの子どもが3匹いた。メルとヨゴミは同じ物置で協同保育をしていたのだ。
数日後、コムギはまた物置にやってきて、赤ちゃんのニオイを嗅いでいた。コムギは物置の外に出てマーキングを開始した。別のオスがやってくるとコムギは執拗に追いかけ撃退した。コムギはメルやヨゴミが子育てをしている場所から、少し離れたところに横になった。この謎めいた行動が1か月続き、取材班は「ある可能性」を試すことにした。