立って歩く姿を見て病名がわかった
見舞いに来た両親の話から、10年前交通事故に遭った時にリハビリで世話になった医師を思い出し、診てもらうことに。この医師が、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターの青田洋一副病院長だ。
青田氏のもとで再びMRI検査を受けたが、やはり原因は発見できず。「立って歩く様子を見せてほしい」と指示され、腰を押さえてとぼとぼと痛々しく歩いた。
青田氏が尻の一箇所を押さえると、猛烈な痛みが走った。これで青田氏は「殿皮(でんぴ)神経障害」と突き止めた。
殿皮神経とは腰から尻の左右に伸びる神経で、これが何らかの原因で骨盤に押し付けられると、様々な症状を起こす。
原因は長時間座って尻が圧迫されることや、寝返りを打って神経が引っ張られ骨とこすれることが考えられる。伊藤さんは尻の両側の神経が骨盤にこすれていたため、両足に症状が出ていた。
殿皮神経障害の患者は、歩く時、殿皮神経が通っている腰の部分を無意識に押さえる傾向がある。押さえると骨にこすれる動きを少し止められるので、痛みが和らぐのだ。
殿皮神経は直径2~3ミリメートルと細く、レントゲンやMRIの画像に写らないため、原因不明の腰痛として片付けられてきた。2005年にこの病気の患者に初めて出会い、「新型腰痛」と名付け、独自に研究を重ねて治療法を編み出したのが青田氏だ。
伊藤さんは神経が骨盤に当たらないようにする手術を受け、4日後には普通に歩けるくらいまで回復した。