震災を乗り越え、平等で快適な生活の構築を目指す街
2017年10月27日、新国立競技場整備事業も手掛ける世界的建築家・隈研吾氏が設計デザインした東北被災地支援のためのコミュニティ施設「陸前高田アムウェイハウス(仮称)」の設計デザイン発表会が開催された。
陸前高田市の東日本大震災による死者行方不明者は1759人に上り、陸前高田の中心市街地は流出。市の機能をほぼ全て失うという壊滅的な被害を受けた地域で、それからずっと地道に整備工事や地域再生が進めている。震災に遭われた方が体験談を交えながら案内する「震災語り部」という観光ガイドも実施している。震災後も被災地に住み続ける住民が、実際に経験した事実や復興への歩み、これからの課題などを伝え、これからの震災対策の一助となることを目指して活動している。
陸前高田市は「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」をスローガンに掲げている。「ノーマライゼーション」とは、障がいを持つ者と持たない者とが平等に生活する社会を実現させる考え方。その言葉を唱えなくても、未来を担う子どもから高齢者、障がい者まで全員が平等な生活を営める社会を目指し、快適に過ごせる街づくりに向けたインフラの整備と地域活性化に取り組んでいる。
そこで、一般財団法人 日本アムウェイOne by One 財団は被災地域のコミュニティ再生を支援する「Remember HOPE 東北復興支援プロジェクト」の一環として、「陸前高田アムウェイハウス(仮称)」の建設を決定した。同施設は2018年に開所予定で、宮城県南三陸町、福島県相馬市、岩手県野田村、大槌町に次いで5棟目のコミュニティハウスとなる。
市内外からの交通機関の拠点となる交通広場とバス高速システムの BRT「新陸前高田駅」の隣接地に建設する予定だ。そのほかにも民間団体による交流センター、育児支援施設、カフェ併設の福祉支援事業の施設の入居が予定されており、住民のより豊かな生活の礎となることを目指す。
設計デザイン発表会に登壇した戸羽太市長は「希望を持たせてもらっています。市が掲げる『ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり』のもと、私たちは誰もが人生を謳歌できる、そしてもう一度希望を持てるまちづくりを目指しています。コミュニティハウスが希望を取り戻す象徴になる建物になって欲しいです」と力強くコメントした。