菓子大手カルビーの株価が軟調な展開となっている。2017年10月30日の取引終了後に発表した18年3月期の業績予想の下方修正や17年9月中間連結決算などが、投資家に売りを誘っているためだ。証券会社は相次いで目標株価を下げている。
11年の上場以来、最高益の更新を続けて株価も右肩上がりだったが、ここへきてその成長力を見極めようという動きが顕在化している。
業績予想を下方修正
カルビーが業績などを発表した翌日の10月31日、株価は「窓を開けて」急落した。窓を開けての下落は、前日の最安値より当日の最高値が下回っている現象で、株価チャート図上に空白が生じる。下げ方が急なため(上がる時も同様だが)、その銘柄の転換点を示すことが多い。株価は一時、前日終値比9.5%安の3770円まで下落し、8.4%安の3815円で取引を終えた。その後も4000円台には戻れない展開が続いている。
発表内容を見ると、業績予想の下方修正は売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてに及んだ。このうち純利益は従来予想から15億円減の175億円。前期実績比では従来予想が2.1%増益だったのから一転、5.9%減の減益見込みとなる。これまで増益を続けてきただけに、上場以来初の減益の予想は株式市場で大きな売り材料になった。業績予想の下方修正についてカルビーは、「売上高は海外の主力地域である北米で業績回復が遅れた」「利益についても北米の売り上げ減少による利益減少、稼働低下による生産性の悪化が響いた」と説明。北海道産のジャガイモの収穫減によるポテトチップスの販売停止を克服できたと思ったところで、2017年9月中間期の北米事業の売上高が前年同期比1割減という難題に押された格好だ。カルビーは「内需株」とくくられることもあるほどで、海外売上高も全体の1割を少し超える程度。スナック菓子などを手がける米国事業はその海外売上高の半分に満たない水準ではあるが、成長性という面から期待が高かった分、失望が大きいわけだ。
海外でのつまずきをどう克服するか
国内証券大手3社は相次いでカルビーの目標株価を引き下げた。SMBC日興証券は11月7日付のリポートで3700円を3400円にした。今後の注目点として「北米事業を再び成長軌道に戻せるか」「フルグラ(ライ麦などを原料とする朝食用シリアル)を中国市場で開拓・拡販できるか」の2点を挙げた。一方で国内については「今年はジャガイモが豊作なため増収に転じるだろう」としている。目標株価を4100円から3800円に引き下げた野村証券は「北米の回復に不透明感が残る」と指摘。大和証券も4100円から3800円に引き下げ、「国内事業の回復は順調に推移するものの、海外事業の回復には時間がかかる印象」とした。
東日本大震災が発生した2011年3月11日に株式を上場したカルビー。宇都宮市の工場が被災するなどの影響も乗り越え、「フルグラ」の普及などで業績を拡大してきた。成長の活路を求める海外でのつまずきをどう克服するかに市場は注目している。