かつてのハンドラーの顔も覚えていた
訓練でそう反応しているだけではないか、という疑念もあるかもしれないが、ノール博士らはその点を排除するために入念かつ興味深い追試も行っている。
それは、有名人の顔を表示せずかつて羊たちを飼育していたハンドラー(調教師)の顔と赤の他人の顔を表示するというものだ。モートン博士によると、羊たちは双方の顔を見比べ入念に確認し、自分たちが慣れ親しんでいたハンドラーの顔を選んでおり、有名人の顔を見せた場合よりも成功率も向上していた。
モートン博士は、次のように話している。
「ハンドラーの顔を見せるという訓練は行っておらず、研究施設に移動してから羊たちはハンドラーに会っていません。それでも自分たちにとって馴染のある相手の容貌を認識できているということは、羊が人に匹敵する能力を有している証拠です」
すでに博士らはハンチントン病を発症するように遺伝子操作した羊の訓練に入っており、相貌失認の解明に取り組み始めているという。